出版社内容情報
本書は、20世紀のソ連時代を生きた作曲家ショスタコーヴィチ(1906-1975)の生涯を、家族、知人、同業者などのインタビュー・書簡・日記・論考による回想を主軸に多角的に描き、現代史における社会主義の経験を生々しく伝える比類ない評伝である。
スターリン体制下のソヴィエト国家にあって、天才作曲家はどこまで自分を貫き、あるいは妥協し、あるいは屈服し、あるいは同調したのか――ヴォルコフの『証言』を端緒として現れたこれまでの主観的で皮相なショスタコーヴィチ解釈に対して、著者はみずからの個人的見解は最小限にとどめ、実証に依拠し、等身大で偏りのないスタイルで作曲家の人と作品と周辺と時代を詳細に映すことに努めた。その結果、作曲家の実際の姿がおのずとあぶり出される、最も信頼に足る評伝がここに誕生した。
〈本書の主要部分をなすインタビューや調査は、1988年から90年という特別な時期、ソ連末期の「混乱と興奮の時代」に行なわれた。そこでは「腹蔵なく、また恐れずに、自分の考えを表現する機会」を与えられた人々が、「ソヴィエト連邦が完全に崩壊する前に記録を正すことを切望」していた。本書の主要部分は、まさに公的記録から排除されてきた市民の<記憶のアーカイヴ>であり、日常生活の生々しい<身体性>を伝えている。〉(訳者あとがき)
【目次】
2006年改訂版への序文
本文への注釈
謝辞
略号
第一章 子供時代と青春
生涯と音楽のはじまり 家系 楽才の発見 学校時代 政治教育 音楽院時代
第二章 確立した若い作曲家
独立を達成する 《交響曲第一番》 職業ピアニスト 《交響曲第二番》 イヴァン・ソレルチンスキイとの友情 社会変動と文化革命 左翼芸術の卓越風 舞台とスクリーンでの実験 劇音楽 初恋 バレエ 《ムツェンスク郡のマクベス夫人》 ヴァラエティー――人生のスパイス 《チェロ・ソナタ》(作品四〇) 個人的幸福
第三章 批判と批判への回答
「音楽の代わりに支離滅裂」 友情の試練 《交響曲第四番》 差し迫る恐怖 《交響曲第五番》 《交響曲第六番》 ショスタコーヴィチ――完全なるプロフェッショナル 間奏曲としての休暇
第四章 戦時中――猶予期間
《交響曲第七番》 疎開への旅 クイブィシェフでの疎開生活 《賭博師たち》 《交響曲第八番》と《交響曲第九番》 ソヴィエト国歌 NKVDクラブのジェルジンスキイ記念 歌と踊りのアンサンブル 教師と師匠 イヴァノヴォ 1944年の室内楽作品
第五章 スターリニズムの最後の時期
新しいモスクワの家と休暇の家 敵意に囲まれた状況での生存 《ヴァイオリン協奏曲第一番》 1948年の音楽における反形式主義キャンペーン 忠誠と裏切り 反コスモポリタニズム・キャンペーン まさかのときの支援と思慮分別 世界平和文化科学会議 公認と非公認の作品 《ピアノのための二四の前奏曲とフーガ》(作品八七) 1950年代初期の室内楽作品
第六章 雪どけ
雪どけ時代の政治的背景 《交響曲第十番》 《祝典序曲》 ニーナの死――そして二回目の結婚 《ヴァイオリン協奏曲第一番》初演 ショスタコーヴィチ家の所帯 《マクベス夫人》の名誉回復 「誤謬の訂正について」 若い世代の見たショスタコーヴィチ プロコフィエフ表敬 レニングラード・フィルハーモニー交響楽団 《交響曲第十一番》 《チェロ協奏曲第一番》 公的義務 抑圧の犠牲者か忠実な党員か 《弦楽四重奏曲第八番》創作の背景 《諷刺》 二つの交響曲の初演
第七章 再生
リヴァイヴァルとリニューアル 新しい住居 幸福な結婚 《交響曲第十三番》 ムラヴィンスキイの背信 哲学的な見方 ストラヴィンスキイのロシア帰国訪問 ゴーリキイ音楽祭の創設 非公式文化 作曲家同盟での政治 ボリショイ劇場からの委嘱 「ベートーヴェンたち」 病気 六十歳の誕生日 作曲家と同僚たちとの交友 他の六十歳の誕生日
第八章 晩年
《交響曲第十四番》 ドイツでの《交響曲第十三番》と《交響曲第十四番》の初演 クルガンのイリザロフ博士の診療所での治療 反体制
-
- 電子書籍
- 陰の実力者になりたくて!【ノベル分冊版…
-
- 電子書籍
- 追放された元令嬢、森で拾った皇子に溺愛…
-
- 電子書籍
- ひとたび触れあえば【分冊】 1巻 ハー…
-
- 電子書籍
- 週刊サッカーダイジェスト 2014年8…
-
- 電子書籍
- タブロウ・ゲート XXIV プリンセス…



