出版社内容情報
バラク・オバマが選んだ2024年の必読書
「どんなタイプの経済成長を追求すべきか? 誰のためのものであるべきか?…こうした問題に関心をもつ人の必読書だ」
――ダロン・アセモグル(MIT教授|2024年ノーベル経済学賞受賞)
「成長についてのこれまでの考え方が疑われている現在、きわめて重要な書だ」
――ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)
「経済成長の追求は、人類にとって新しく、不可思議で、しかも危険な活動だ。…成長のジレンマを何とかしなければならない、という認識自体は高まっているが、そのための具体案として現在最も影響力をもっているアイディア二つが、あまりにも当を得ていない。…
そのうち一つは、ビジネスライクな提案で、GDPという尺度をうまく修正すればジレンマを解消できるとしている。だが、これは僕たちが直面している試練の性質を理解していない。…
もう一つは、よりラディカルな提案で、経済成長を一時停止する、あるいは意図的に後退させることによってジレンマを解消できるとしているが、ジレンマの片方=その代償だけにフォーカスし、成長の約束を軽視している。…
本書では別の対策を示した。この別案は、経済成長の要因に関する人類のささやかな理解、つまり経済成長のプロセスは、新しいアイディアの発見と、アイディアという特異な資産を経済的に使うことによって、促進される、という理解に根差している」(おわりに)
未来を根っこから考える中庸の道。
【目次】
はじめに
目の前の喫緊性
成長のストーリー
楽観主義者であれ
第I部
1 罠
過去2000年の歴史
さらに昔
生きた化石を求めて
陰鬱な科学者
奇妙な逆転
マルサスと〈ロング・スタグネーション〉
収穫逓減の呪い
2 脱出
経済成長の説明をつける
ハロッド‐ドーマーの鬼子
技術進歩という天恵
無形世界
経済のダークマター
相関関係から因果関係へ
経済ファンダメンタリストたち
第一次産業的啓蒙主義
第II部
3 優先事項化
新たな関心事
戦争へ向けて
ターニングポイント
成長第一主義の始まり
4 約束
経済的問題
経済学を超えて
幸せの経済学
国家としてのまなざし
依存と自己満足
5 代償
気候破壊
不平等の拡大
雇用への脅威
政治の毀損
コミュニティの崩壊
成長のジレンマ 139
第III部
6 GDP役割最小化主義
アラインメント問題
GDPの技術的限界
GDPの道徳的限界
GDP役割最小主義(ミニマリズム)
ダッシュボード・アプローチ
7 脱成長
脱成長の短い歴史
「有限の地球」は的外れである
人間の顔をした不況
想像力の欠如
完璧な政治という幻想
では、どうするか?
第IV部
8 成長を解き放つ
アイディアのパワー
アイディアの自由化
もっと研究開発を
もっと人材を
もっとテクノロジーを
ほかには何が重要なのか?
9 新しい方向
技術進歩を方向づける
無限賃金問題
懐疑派への反応
歴史の転換点
ふたたび、成長のジレンマについて
第V部
10 大いなるトレードオフ
トレードオフの回避――パレート改善
トレードオフの弱体化――グレート・デカップリング
再生可能革命
オートメーション化の二つの顔
グローバリゼーションからの撤退
デジタルなことは政治的なこと
トレードオフの甘受――道徳的問い
11 道徳的問い
僕たちは何を大事にすべきなのか?
僕たちは未来に対してどれだけの責任を負うのか?
ジレンマを政治に戻す
おわりに
謝辞
索引
原注