出版社内容情報
「詩人とは、どのような言葉もそれで終わりにならず、思考の出発点となるような人間である」(「ある詩について」)
20世紀後半最大のロシア詩人、ノーベル文学賞受賞者ヨシフ・ブロツキー(1940-96)の真髄をしるすエッセイ集の日本語版をここに刊行する。全篇を通じて詩の魅力と可能性を存分に語り、同郷のアフマートワ、マンデリシュターム夫妻への思いを綴り、カヴァフィスやモンターレやウォルコットを論じる。なかでもマリーナ・ツヴェターエワの詩「新しき年の辞」と、ブロツキーが最も敬愛する詩人W・H・オーデンの詩「1939年9月1日」を分析した長大な二篇は精緻で深遠で、詩論の見本のような出来になっている。さらに、本書の巻頭と巻末に置かれ、幼年期から1972年に国外追放されるまでのソ連時代の生活を描いた「レス・ザン・ワン」と「一つと半分の部屋で」は、痛切に読者の心に響く。全17篇のすべてが格調高く、リアルで瑞々しい。
内容説明
20世紀後半最大のロシア詩人、ノーベル文学賞受賞者ヨシフ・ブロツキー(1940‐96)の真髄をしるすエッセイ集の日本語版をここに刊行する。全篇を通じて詩の魅力と可能性を存分に語り、同郷のアフマートワ、マンデリシュターム夫妻への思いを綴り、カヴァフィスやモンターレやウォルコットを論じる。なかでもマリーナ・ツヴェターエワの詩「新しき年の辞」と、ブロツキーが最も敬愛する詩人W・H・オーデンの詩「1939年9月1日」を分析した長大な二篇は精緻で深遠で、詩論の見本のような出来になっている。さらに、本書の巻頭と巻末に置かれ、幼年期から1972年に国外追放されるまでのソ連時代の生活を描いた「レス・ザン・ワン」と「一つと半分の部屋で」は、痛切に読者の心に響く。全17篇のすべてが格調高く、リアルで瑞々しい。
目次
レス・ザン・ワン
哭き歌のムーサ
振り子の歌
改名された街の案内
ダンテの影のもとで
独裁政治について
文明の子
ナデージダ・マンデリシュターム(一八九九‐一九八〇)追悼
元素の力
潮騒
詩人と散文
ある詩について
空中の大惨事
W・H・オーデンの「一九三九年九月一日」について
師の影を喜ばせるために
卒業式の講演
一つと半分の部屋で
著者等紹介
ブロツキー,ヨシフ[ブロツキー,ヨシフ] [Brodsky,Joseph]
1940‐1996。1940年、旧ソ連のレニングラード(現サンクト・ペテルブルク)でユダヤ系の両親のもとに生まれる。15歳のときに学校に通うことを拒否し、職を転々としながら、独学で詩を書き始めるが、1964年、「徒食者」として逮捕され、北ロシアの僻村に流刑となる。さらに1972年には国外移住を強要され、アメリカ合衆国に亡命した。国際的評価が高まり、1987年ノーベル文学賞受賞。1991年にはアメリカ桂冠詩人に選ばれた。1996年、心臓発作のためニューヨークの自宅で没。亡命後二度とソ連・ロシアの地を踏むことはなかった
加藤光也[カトウミツヤ]
1948年生まれ。東京都立大学名誉教授。専門はイギリス文学
沼野充義[ヌマノミツヨシ]
1954年生まれ。東京大学名誉教授。専門はスラヴ文学・現代文芸論
斉藤毅[サイトウタケシ]
1966年生まれ。大妻女子大学他講師。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。専門はロシア文学・文化
前田和泉[マエダイズミ]
東京外国語大学教授。東京大学大学院人文社会系研究科博士課程修了。専門はロシア文学・文化
工藤順[クドウナオ]
1992年生まれ。ロシア語翻訳労働者。主に20世紀ロシアの作家アンドレイ・プラトーノフの翻訳紹介に携わる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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