出版社内容情報
ドイツの一般大衆は当時、ナチ恐怖支配についてどこまで知っていたのか。実際には、戦争の進展とともに強制収容所は次々と増設されて身近な存在になり、被収容者が公開処刑にされる様子まで日常的に見ていた。政府が「非社会的分子」や外国人労働者を排除することを、国民の多くは誇りとし、積極的に協力した。一方で、ヒトラーは「敵」には容赦ない強制手段をとりながら、国民を味方につけることには細心の注意を払った。情報操作を徹底し、事実を隠すよりは公開したのである。「強制」と「同意」は一貫して縺れ合っていた。
著者はこの分野の卓越した研究者である。廃棄を免れたゲシュタポ調書等と、当時の新聞雑誌をていねいに読み、1933年のヒトラー権力掌握から1945年の敗戦までの「同意と強制」の真相をさまざまな方向から明らかにする。同時に、反ユダヤ主義は最初から国民に浸透していたのではなく、戦争突入が契機となったことを実証した。
関連書のなかでは長く残る一冊として、本書は評価が高い。各国語に翻訳されただけではなく、ドイツ政府は本書のドイツ語訳の廉価版を作製・配布している。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
45
新刊コーナーより。2008年に出版されたものの新装版です。文章を読みながらため息をついてしまったのは、現在のパレスチナへのジェノサイドがあるからです。タイトルは「ユダヤ人を支持した先進国」にしか見えません。この本は「明らかに多くの人々は目の当たりにした残虐行為を含め状況を理解しようとせずヒトラーあるいはドイツを支持する以外何もできなかった」としめくくられますが、カタカナをイスラエルにすれば現在の状況です。私たちはまた同じ間違いを犯しているのに、気づいていないふりをしているのではないでしょうか。2024/08/08
takao
3
ふむ2024/06/25
あまたあるほし
0
これぞ、ドイツの本性。2024/07/28