出版社内容情報
国際正義の生成は16世紀に端を発しているとされるが、それから400年以上の年月がすぎ、もはや当初の国際正義が前提としてきた世界の構造は崩れかけている。
いまや人間がデモクラシーに導かれて、国家のもとで道義的に生きることができるという仮説の妥当性は奪われつつある。さらには、グローバル企業・グローバル金融機関など、「主権的ではない主体」が国家を超えるパワーを持ち、世界各地で摩擦を引き起こしている。
今日のグローバル空間を舞台に国際正義が目指されるとき、国家主権やデモクラシー、そしてわれわれ市民の自己決定の手段はいかに変容するのか? そして、国際政治思想がグローバル空間を正しく捉えていくために、何が必要なのか?
国際正義論の第一人者が、国際政治思想における「現状維持バイアス」を乗り越えるためのラディカルな問題提起を行った本書は、グローバル空間を「社会」と捉え、思考し、哲学する礎となる書である。
内容説明
グローバル空間を「社会」と捉えるとき、国家や企業、市民社会に求められるものは何か?国際正義論の第一人者による、ラディカルな問題提起と研究の未来図。
目次
第1章 リアリストはなぜ現実から遠ざかるのか
第2章 グローバル社会論は新たなパラダイムとなり得るか
第3章 「公共」は国家を越えるか
第4章 脱領域的な正義の構想
第5章 グローバル化というデモクラシーにとっての試練
第6章 集団的自己決定の行方―ローカルなものを活かすには
第7章 主権の新思考とは―EUのこころみ
第8章 コスモポリタニズムの現実性―グローバル化を背景に
著者等紹介
押村高[オシムラタカシ]
1956年東京都生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。博士(政治学)。青山学院大学国際政治経済学部教授。学部長、副学長を歴任。2019年から21年までパリCIUP日本館館長(外務省ミッション)を務めた。専門は政治学、政治思想史、国際関係論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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