出版社内容情報
生きた細胞と、細胞内の全分子を含む水溶液のビーカーは何が違うのだろう。どちらも生命として必要な分子は揃っている。たとえば酵素の分子は、水溶液中でも化学反応を触媒する能力を持っている。しかし、ビーカーは生きていない。
近年注目されている相分離生物学によれば、「生きた状態」は、細胞内の分子群が作るドロプレット(液滴)によって維持されている。ドロプレットはわずかな変化に応じて作られ、その中で化学反応を何万倍も加速したり、非常事態に備えたりしている。無数の化学反応が細胞内で混線せずに進行しているのもドロプレットのおかげだ。生きた状態は、絶え間なく生成・消滅するドロプレットによって分子の環境が精密に制御されることで実現しているのである。
では、分子群がドロプレットを自在に形成する条件は何か。著者は、個々の分子に注目する従来の分子生物学の見方を変え、「分子と分子のあいだ」まで視野を広げることで、溶液化学や熱力学などに手がかりが見つかってきていると語る。
生命を駆動する法則を探る、新たな生物学の冒険へと誘う書。
内容説明
生きた細胞と、細胞内の全分子を含む水溶液のビーカーは何が違うのだろう。どちらも生命として必要な分子は揃っている。たとえば酵素の分子は、水溶液中でも化学反応を触媒する能力を持っている。しかし、ビーカーは生きていない。近年注目されている相分離生物学によれば、「生きた状態」は、細胞内の分子群が作るドロプレット(液滴)によって維持されている。ドロプレットはわずかな変化に応じて作られ、その中で化学反応を何万倍も加速したり、非常事態に備えたりしている。無数の化学反応が細胞内で混線せずに進行しているのもドロプレットのおかげだ。生きた状態は、絶え間なく生成・消滅するドロプレットによって分子の環境が精密に制御されることで実現しているのである。では、分子群がドロプレットを自在に形成する条件は何か。著者は、個々の分子に注目する従来の分子生物学の見方を変え、「分子と分子のあいだ」まで視野を広げることで、溶液化学や熱力学などに手がかりが見つかってきていると語る。生命を駆動する法則を探る、新たな生物学の冒険へと誘う書。
目次
命は分子のあいだに宿る
1億倍の加速装置
二つのドグマ
生命は「溶かす」ことで進化した
溶液の構造をデザインする
レビンタールのパラドックス
プリオンの二つの顔
アミロイドはアルツハイマー病の原因なのか
タンパク質の宇宙
分子の群れを計測する
相分離スケールの野望
人工生命というアプローチ
細胞内はなぜ高濃度か
生きている状態の新たな理解
著者等紹介
白木賢太郎[シラキケンタロウ]
1970年生まれ。1994年大阪大学理学部卒業、1999年大阪大学大学院理学研究科博士課程修了。博士(理学)。現在、筑波大学数理物質系教授。専門はタンパク質溶液科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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