出版社内容情報
人間の「利他の心」の存在はどのように説明できるだろう? 一筋縄ではいかないこの問いに、進化生物学と慈善の歴史という観点から挑みかかる。
「利他行動」は生物学の難問の一つだ。ヒトをはじめ、他個体を利する行動をとる動物は実際に存在する。だがしかし、寛大にも他者を思いやる個体の遺伝子は、狡猾な個体に出し抜かれて繁殖機会を奪われ、淘汰されてしまうのでは? 生物学者たちはこのことにおおいに悩み、利他行動を説明できる理論を求めて奮闘してきた。
ただし、人間の利他の心は、生物学だけで完全に説明することはできない。社会福祉制度や慈善活動などの方法で、血縁や地域を超えた「完全な赤の他人」にまで援助の手を差し伸べる動物は人間以外にいないのだ。ここには、何か特別な説明が必要になる。著者によれば、一万年の人類史における「七つの大いなる苦難」を、人類がどう解決してきたかが説明のカギだという。
本書では、利他行動に関するいくつかの理論の要点とその妥当性を検討したのち、歴史を通して力を発揮してきた人間特有の能力を鮮やかに提示する。人類史上もっとも寛大な「思いやりの黄金時代」を生きる私たち。ここへ至るまでの道程を照らし出す、本能と理性のビッグヒストリー。
内容説明
なぜ「赤の他人」に親切にするのか?ヒトの生物学的形質と人類一万年の歴史にその起源を探る。
目次
思いやりの黄金時代
アダム・スミスの小指
進化の重力
すべては相対的だ
ミスター・スポックへ、愛を込めて
大いなる報酬
孤児の時代
思いやりの時代
予防の時代
第一次貧困啓蒙時代
人道主義のビッグバン
第二次貧困啓蒙時代
成果(インパクト)の時代
理性が導き出す思いやりの理由
著者等紹介
マカロー,マイケル・E.[マカロー,マイケルE.] [McCullough,Michael E.]
カリフォルニア大学サンディエゴ校の心理学教授。アメリカ心理学会とパーソナリティ心理学・社会心理学会(The Society for Personality and Social Psychology)においてフェローを務める。人間の社会性に関する。進化的・認知的な基盤に関心がある。対人関係における「許し」に初めて着目し、実験的に研究する方法を開発した研究者の一人。ほかにも、「感謝」「復讐」「向社会的行動」「宗教的な認知」「異なる時点での選択」などを実験的に研究する方法の開発を行ってきた。近年では自制心やホルモン(オキシトシン)が持つ社会的影響について研究を行っている
的場知之[マトバトモユキ]
翻訳家。東京大学教養学部卒業。同大学院総合文化研究科修士課程修了。同博士課程中退(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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