日本のカーニバル戦争―総力戦下の大衆文化 1937‐1945

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日本のカーニバル戦争―総力戦下の大衆文化 1937‐1945

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  • サイズ 46判/ページ数 432p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622095231
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C1021

出版社内容情報



ベンジャミン・ウチヤマ[ベンジャミンウチヤマ]
著・文・その他

布施由紀子[フセユキコ]
翻訳

内容説明

総動員令が発令されても、「臣民」は息をひそめ、ただ同調したわけではない。統制が厳しくなるにつれ、大衆は無遠慮、不謹慎、価値倒錯的な行動さえとるようになり、メディアもそれを煽ったのだ。日中戦争の従軍記者は、戦場での「百人斬り競争」をこぞって報じ、銃後はその記事に飛びついて、文字通り「消費」した。「スリル」という日本語も、この頃生まれた。20世紀初頭のロシアの文学理論家バフチンは、このような状況を「カーニバル」と呼んだ。社会の通常のルールが一時的に適用されなくなり、既存の階層構造が壊されて平準化する、過渡的な瞬間のことだ。そこでは強者が貶められ、弱者や一癖ある者がコミュニティの「カーニバル王」に祭りあげられる。こうして「カーニバル戦争」は「大衆に、鬱積した不満を吐き出すセラピー効果のある通気口を提供」した。その象徴的な存在として本書が取り上げるのは、(1)「スリル・ハンター」となった従軍記者、(2)高給取りの軍需工場の職工、(3)兵隊(帰還した傷病兵を含む)、(4)映画スター(総力戦のチアリーダーも務めた)、(5)少年航空兵(戦争末期には特攻隊員に)。著者は日本の近現代史を専門とする、アメリカの気鋭の歴史学者。膨大な量の当時の新聞雑誌からの引用(軍国少年の投書や柳屋ポマードの広告まで)を土台とした、「消費者=臣民」の具体的な描写に、読者は魅了されるだろう。

目次

序章
1 従軍記者
2 職工
3 兵隊
4 映画スター
5 少年航空兵
終章

著者等紹介

ウチヤマ,ベンジャミン[ウチヤマ,ベンジャミン] [Uchiyama,Benjamin]
南カリフォルニア大学歴史学部准教授。2005年、ハーヴァード大学で修士号を取得。2013年、南カリフォルニア大学で博士号を取得(歴史学)。専攻日本近現代史・文化史、第二次世界大戦、占領期研究。本書は、米国大学・研究図書館協会(ACRL)書評誌Choiceが選ぶ2019年度のOutstanding Academic Title(傑出した学術書籍)の一冊に選出された。2021年にはアジア研究学会(Association for Asian Studies)が日本に関する最もすぐれた研究書に贈る、ジョン・W・ホール図書賞を受賞

布施由紀子[フセユキコ]
翻訳家。大阪外国語大学卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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BLACK無糖好き

21
日本の戦時文化史。国家総動員がいかにして新たな文化的実践を生み出したか、日本の一般国民が大衆消費者として、同時に帝国の臣民としてどのように行動したか。銃後社会の諸相が映し出される。注目したのは「軍需産業」に従事して高給を得た若い職工の派手な浪費ぶり。銃後を守る労働者の身だしなみとしてポマード・ブームまで生み出した。国も職工の素行を取り締まるまでには至らず。また、航空ファンの少年を夢中にさせた雑誌「航空少年」に纏わる航空文化と特攻隊との関係の考察も、消費者としての心情と臣民としての思いが交錯し大変興味深い。2023/07/09

ケイトKATE

20
日中戦争、太平洋戦争下の日本がカーニバル状態にあったと新たな視点から考察している。カーニバル状態とは、戦争を娯楽として楽しんでいたのである。これは、政府や軍部が戦争の不満を国民が逸らすことを意図していたのと、利益を伸ばすためにメディアが戦争を娯楽として提供した。そして、国民が戦争の過酷な現実を逃避し娯楽として消費していた。しかし、アメリカ軍の無差別爆撃を目の当たりにしたことで、カーニバル状態は終焉を迎えた。おぞましいことであるが、人間が現実逃避する手段として娯楽を選んでしまうことを知る必要がある。2025/07/13

竹の花

9
これまでの日本の総力戦体制やモダニズムに関する研究における「戦時動員と大衆文化の接点,文化的実践と文化的イデオロギーの関係,総力戦時代に消費者と臣民を隔てていた穴だらけの境界線についての,より厳密な研究」の不足を見る著者は,一般大衆が忠実な帝国臣民と(これまで重視されてこなかった)消費者という二重の役割を演じ分けていた実態を明らかにすることを試みる.カーニバル王に導かれた文化的実践は国家総動員体制の公式イデオロギーの下で反抗と服従との間を揺れ動き,激しい流動性を生み出した.2022/12/23

takao

4
☆戦時民衆の姿は、忠実な帝国臣民としての役割と、大衆文化の消費者としての役割を演じ分けていた。 2023/05/23

Meistersinger

2
戦時下における大衆文化の有様(そういう意味では「戦争カーニバル」のほうが適切だろう)を描き、特にトリックスターとして新聞記者・職工・兵隊・映画スター・少年飛行兵を取り上げている。一律・一方的に政府によって打ちひしがれていたのではなく、大衆も戦争に乗じていたと。それにしても試験や監督によって映画スターを製造できると考えた官僚たちの生真面目さというものは図りがたい。2022/11/10

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