内容説明
本書は、神経症・強迫神経症・衝動狂・性的倒錯・興奮者・軽佻者・欲動者・奇矯者・虚言者と詐欺師・社会敵対者(反社会的人格)・好争者などをテーマとしている。アメリカの最新の診断基準DSM‐3が主としてクレペリンに基づいているのは周知のとおりで、ここにとりあげた人格障害を例にすると興奮者・軽佻者・欲動者は、現在社会問題化している家庭内暴力を含む境界型および自己愛型人格障害にあてはまろう。(国際疾病分類ICD‐IOの最新案ではこの二型がなく、衝動性人格障害としてまとめられている。)これらの人格障害をはじめ、内因性・心因性の精神障害に関してアメリカを中心に最近進められた生物学的研究の多くは、クレペリンのこの教科書にさりげなく述べられているさまざまな経験的事実や、そこから導き出された仮説を最新の方法で科学的に洗い直すことであったといっても過言ではない。クレペリンの即物的で克明な描写は完璧といってよいほど、種々の臨床像の明細をとらえている。
目次
生得の病的状態(神経質;強迫神経症;衝動狂;性的倒錯)
精神病質性人格(興奮者;軽佻者;欲動者;奇矯者;虚言者と詐欺師 ほか)
著者等紹介
クレペリン,エーミール[クレペリン,エーミール] [Kraepelin,Emil]
1856‐1926。ドイツのノイシュトレリッツに生まれる。1874年、ヴュルツブルグとライプチヒ大学で医学を学び始め、その後ヴント、グッデンの教えを受ける。1883年『精神医学提要』Compendium der Psychiatrie(384頁)を出版。著者27歳のときであり、これが後年の『精神医学』の初版である。いらい版をかさね第8版(1909‐1915)では4巻3048頁となった。第9版の第2巻が出版されたのは1927年で、これで中絶した。30歳のとき精神医学の教授となり、ドルパト(エストニア、今日のタルトゥ)、ハイデルベルク、ミュンヘン大学を歴任した。フロイトとならび、現代精神医学の基礎を築いた一人である
遠藤みどり[エンドウミドリ]
1936年生。1961年京都大学医学部卒業。島根医科大学名誉教授
稲浪正充[イナナミマサミツ]
1932年生。1955年京都大学医学部卒業。京都大学保健管理センター講師、島根大学教育学部教授を経て、同大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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