出版社内容情報
1968年に各国で勃発したあの運動は何だったのか。世界革命か、民衆蜂起か? 戦後史のなかで特別な地位にあり、現代に通じる問題群を提起する事件でありながら、その評価は今も定まらない。本書はその本拠地フランス五月革命に焦点を当て、反革命としてのドゴール政治を通じてその意味をさぐり、革命と反革命の双方を政治史に位置づける。本国での研究の死角から切り込む、長年の研究の成果。
内容説明
社会と国家が正面から衝突した1968年。未曾有の、だが評価の定まらないあの革命の姿を、旧政治による反革命を友鏡に映し出す。清新な手法による戦後政治史。
目次
序章 「六八年五月革命」―シンボルと歴史の狭間で
第1章 五月革命をめぐる諸解釈と問題設定
第2章 ドゴール主義とは何であったのか
第3章 「革命」に対する政治の「勝利」
第4章 国民投票とドゴールの退陣
終章 居場所なき革命
著者等紹介
吉田徹[ヨシダトオル]
東京都生まれ。慶応義塾大学法学部卒、東京大学総合文化研究科博士課程修了(学術博士)。北海道大学法学研究科/公共政策大学院教授、パリ政治学院客員教授等を経て同志社大学政策学部教授、フランス国立社会科学高等研究院日仏財団リサーチアソシエイト(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2025/04/08
PETE
2
5月革命自体にはあまり焦点が当たらず、革命への対応を通じていかにしてドゴール政権が自滅し、ポンピドゥーやジスカール=デスタンの小手先の対応で延命を図る保守政権が生まれたかを分析した政治史研究。州制度の導入を通じた中央集権制の打破は頷けるのだが。産業構造がどんどん転換する時代に、職能制議員枠を取り入れた上院改革を国民投票で決めようとするのは、まず構想自体が脱カトリック化されたアクション・フランセーズだし、議員枠の修正の度に国民投票が必要だし、投票という形が国民の参加だと考える時代錯誤だし…2022/10/11
Go Extreme
1
「六八年五月革命」―シンボルと歴史の狭間で: 五月革命の意味 推移と気血 射程と意義 五月革命をめぐる諸解釈と問題設定: 世界同時/個別革命としての1968年 68年世代の形成 分析資角 ドゴール主義とは何であったのか: バイユー演説 ドゴール主義と民主主義 社会的次元ー参加とは何か 社会に抗する国家 「革命」に対する政治の「勝利」: 学生の5月→社会の5月 ポンピドゥーの退陣 国民投票とドゴールの退陣: 国民投票への道 終章 居場所なき革命 新たな保守政治への助走2022/05/24