出版社内容情報
自殺をしてはいけない。この言葉は、どのように根拠づけられるのだろうか?
この問いへの答えを求めて、古代ローマの歴史的資料や古代ギリシャの哲学者たちの思索をはじめ、戯曲や芸術、キリスト教やイスラム教といった宗教思想、宗教から距離を置いた哲学、社会学的な取り扱いまでをも含んだ広い視野で「自殺」がどう考えられてきたのかをまとめ上げる。
古くは宗教的な罪とされていた自殺は、精神医学の発展に伴って倫理的に中立なものになり、現代では選択肢や権利として肯定する立場さえある。このような思想の変遷の中にも、自殺を肯定しない考え方が確かに生き残ってきた。
誰もが納得する答えを出すことがむずかしい問いである。それでも、生きることをやめないでほしい、という切実な思いに向き合い、生きることをやめるべきではない理由とその論理をたどることが、この生に踏みとどまる助けになりうるし、切実な悩みに応えるためのヒントになりうるだろう。
「生き続けるべきだという主張と証拠について考え、それを選ぶことがはじめの一歩になる。そのあとはどんなことも起こりうる。まず、生き続けることを選んでほしい」(本文より)
内容説明
自殺を止めるための根拠を、思想の歴史に見つけ出す。
目次
第1章 古代の世界―聖書、ギリシャ、ローマ
第2章 宗教は自殺を認めない―キリスト教、イスラム教、ユダヤ教
第3章 生きるべきか死ぬべきか―モダニズムの新興における新たな疑問
第4章 非宗教的な哲学による自殺の擁護
第5章 共同体の議論―古代ギリシャから現代まで
第6章 共同体と影響に関する現代の社会科学
第7章 未来の自分に対する希望
第8章 自殺について考察した二〇世紀のふたりの人物―デュルケームとカミュ
第9章 苦しみと幸せ
第10章 現代の哲学的対話―シオラン、フーコー、サズ
著者等紹介
ヘクト,ジェニファー・マイケル[ヘクト,ジェニファーマイケル] [Hecht,Jennifer Michael]
科学史、文化史を専門とする歴史学者、詩人。コメンテーター、ディスカバリーチャンネルなどのテレビ番組、各種ラジオ、ポッドキャストに出演。『ニューヨーク・タイムズ』『ワシントン・ポスト』などへの寄稿や、講演活動を精力的に行う
月沢李歌子[ツキサワリカコ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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