出版社内容情報
■「がんは進化のプロセスそのものである」。無軌道に見えていたがん細胞のふるまいも、進化という観点から見れば理に適っている。がんの根絶をしゃにむに目指すのではない、がん細胞を「手なずける」という新しいパラダイムについて、進化生物学は原理的な理解をもたらしてくれる。
■著者は、この新しい領域を開拓する研究者の一人。進化の視点の基本から説き起こし、協力し合う細胞共同体としての身体の動態や、その中で《裏切り》の生存戦略を選び取るがん細胞の生態を浮かび上がらせる。身体にとって、がん細胞の抑制はつねに大事なものとのトレードオフだ。そんな利害のせめぎあいを分析することにたけた進化生物学の視点から、がんの発生や進展を、あるいは遺伝子ネットワークや免疫系との関係を見直せば、たくさんのフレッシュな知見と問いが湧いてくる。そして最後に話題は新たな角度からの治療へと及ぶ。
■がんの発生は、サボテンからヒトまで、ほとんどの多細胞生物に見られるきわめて根源的な現象だ。細胞生物学、腫瘍学から臨床にわたる、様々な個別の分野で蓄積されてきたがんの理解全体に対して、進化生物学はそれらをより基盤的なレベルで支える観点を提供していくことになるだろう。その本質に触れて、学べる一冊だ。
《がんの治療や多細胞生物としての私たち自身の理解に関して、この本が示唆するものはとてつもなく大きい。》──デイヴィッド・クォメン
《本書はがんや、生命そのものへのわれわれの見方を変えるだろう。》──ダニエル・E・リバーマン
《がんやその制御の真の理解のために、まず読むべき一冊。》──デイヴィッド
スローン・ウィルソン
内容説明
がん細胞にも理屈がある。“裏切り”の生存戦略をとるがんは、根絶するよりも“手なずける”べきもの。がん細胞の進化の論理を知れば見えてくる、この新しいパラダイムの本質を学ぶ一冊。
目次
1 はじめに―がん、それは形を得た進化そのもの
2 がんはなぜ進化するのか
3 細胞同士の協力を裏切る
4 がんは胎内から墓場まで
5 がんはあらゆる多細胞生物に
6 がん細胞の知られざる生活
7 がんをいかにコントロールするか
著者等紹介
アクティピス,アシーナ[アクティピス,アシーナ] [Aktips,Athena]
アリゾナ州立大学心理学部門助教。同大学の進化・医学センターおよびソーシャル・ダイナミクス&複雑性センターに所属。種々の系における協力とコンフリクトの発生を研究テーマとしている。カリフォルニア大学サンフランシスコ校(2011‐2013)では進化・がん研究センターの共同創設者の一人として、同センターの部門長も務めた。ベルリン高等研究所フェローとしてがん進化ワーキンググループに参加(2013‐2014)、2014年度より現職。がん細胞および多細胞系における協力の進化の研究のほかに、人間の互恵性を研究するプロジェクトも手がけている
梶山あゆみ[カジヤマアユミ]
東京都立大学人文学部英文科卒。訳書多数(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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kamekichi29
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