出版社内容情報
被検者の描いた木からその深層意識や内面を理解する、バウムテスト。特別な器具を必要としないため、わが国の心理臨床の現場においても頻繁に用いられる心理テストである。
本書は、フランスでバウムテストの臨床と研究に従事してきた著者が遺した生涯唯一の本である。性格特性ごとに木の画に表れやすい特徴を178項目の「描画サイン」として抽出し、さらにそれぞれのサインの出現頻度を年齢ごと、性別ごとに導き出している。また、家族や兄弟との関係、食事や芸術への興味など、被検者の来歴と描画サインとの関連まで統計的処理をおこない、きわめて立体的かつ実用的な描画サインの確立へと至ったのである。
本邦では、長らくスイスの心理学者カール・コッホによるバウムテストが重用されてきた。しかし、ときとしてコッホの手法は描画の直観的で象徴的な解釈や、サインの多義性が指摘される。コッホの『バウムテスト』のフランスへの紹介者であるストラもまた、本書によって象徴的解釈からの脱却を試みたとも言えるだろう。
豊饒なフランス児童心理学の知見、圧倒的回数の統計的処理により導かれるサイン。本書は、わが国においてもバウムテストの研究史に刻み込まれるべき良書である。
内容説明
被検者の描いた木からその深層意識や内面を理解する、バウムテスト。本書は、フランスでバウムテストの臨床と研究に従事してきた著者が遺した生涯唯一の本である。性格特性ごとに木の画に表れやすい特徴を178項目の「描画サイン」として抽出し、さらにそれぞれのサインの出現頻度を年齢ごと、性別ごとに導き出している。また、家族や兄弟との関係、食事や芸術への興味など、被検者の来歴と描画サインとの関連まで統計的処理をおこない、きわめて立体的かつ実用的な描画サインの確立へと至ったのである。豊饒なフランス児童心理学の知見、圧倒的回数の統計的処理により導かれるサイン。本書は、わが国においてもバウムテストの研究史に刻み込まれるべき良書である。
目次
序章 本書の意図
第1章 バウムテストの歴史(研究史;描画サインとその心理学的意味)
第2章 方法論(方法―実施方法と解釈;解釈の具体例)
第3章 情緒成熟度尺度(情緒成熟度尺度;各年齢ごとの性格特性)
第4章 描画サインの布置と心理学的意味の研究(方法と問題点―心理学的意味と描画サインの間に存在する関係性を確立するために;サインの布置と解釈―心理的項目と描画サイン ほか)
第5章 環境の影響について(バウムテスト以外の投影法検査による結果と検討。社会環境から見たバウムテストの考察;事例ピエール ほか)
結論
著者等紹介
ストラ,ルネ[ストラ,ルネ] [Stora,Ren´ee]
1912‐1990。パリ大学、職業訓練研究所を修了後、国立科学研究センター(CNRS)にて心理学と精神分析の研究に従事。その後、小児医療心理センターであるクロード・ベルナール研究所の研究員となり、その生涯を心理検査の実践と研究に捧げた
阿部惠一郎[アベケイイチロウ]
1949年生まれ。1975年早稲田大学文学部卒業。1979年慶應大学大学院修士課程フランス文学専攻中退。1985年東京医科歯科大学医学部卒業。茨城県立友部病院、国立武蔵野学院、八王子医療刑務所、千葉刑務所を経て、2004年から2016年まで創価大学教育学部教授(臨床心理学専修)。現在、医療法人社団あべクリニック理事長院長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
-
- 和書
- きみのことば