出版社内容情報
「いまや、物質のとりうる形態の数は、無限になった。」凄腕の理論物理学者とその仲間たちが、物質科学の新たな可能性を追う。「ペンローズ・タイル」のこのうえなく魅惑的な幾何学に触発されて著者たちが考案したのは、禁じられているはずの対称性をもつ、新しい形態の物質──名付けて、「準結晶」──の理論だった。
準結晶のコンセプトは単純で美しく、その意義はいまだに計り知れない。ゆえに著者たちの探究はとんでもない熱量のプロジェクトへと発展していく。幾何学、物性物理学、鉱物学、etc. etc. を渡り歩いてカムチャツカに至り、その旅路の先は宇宙へも通じていて……まさに「ありえない」ような知的アドベンチャー。
30年がかりの研究全体を貫いているのは、リチャード・ファインマンの薫陶を受けた著者が指針とする、「第二の不可能」への挑戦である。本書では不可能を可能にするような優れた科学者たちが、プロフェッショナルならではの離れ業を連発する。不可能に挑む研究は、最高に面白いのだ。上質な研究のスリルと興奮を凝縮した胸躍る科学ノンフィクション。
内容説明
凄腕の理論物理学者とその仲間たちが物質科学の新機軸を追い、幾何学、物性物理学、鉱物学、etc.etc.を渡り歩いてカムチャツカに至る、「ありえない!」ようなサイエンティフィック・アドベンチャー。
目次
第1部 不可能を可能にする(ありえない!;ペンローズのパズル;抜け道を見つける ほか)
第2部 探索が始まる(自然はわれわれの鼻をあかしているのか?;ルカ;準年おめでとう ほか)
第3部 なにがなんでもカムチャツカへ!(見失う;見つかる;九九パーセント ほか)
著者等紹介
スタインハート,ポール・J.[スタインハート,ポールJ.] [Steinhardt,Paul J.]
1952年生まれ。現在はプリンストン大学のアルベルト・アインシュタイン記念教授として物理学部門と天体物理学部門の両方に所属。おもな専門は宇宙論、物性論、プリンストン理論科学センターの創設者であり、そのディレクターも長年務めた(2007‐2019)。1980年代に宇宙のインフレーション理論を最初期に開拓したことで著名であり、その功績により、アラン・グース、アンドレイ・リンデとともに2002年のICTPディラック賞を受賞している。インフレーションのほかにも、サイクリック宇宙をはじめとする宇宙モデル、宇宙背景放射、重力波、ダークエネルギーなどをめぐる先駆的理論研究を次々に手掛けた。凝縮系物理学においては本書で語られている準結晶の研究で大きな功績があるほか、種々のフォトニック材料の理論研究も進めている
斉藤隆央[サイトウタカオ]
翻訳者。1967年生まれ。東京大学工学部工業化学科卒業。化学メーカー勤務を経て、現在は翻訳業に専念(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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