出版社内容情報
19世紀以来、《未開》社会のある社会集団と特定の動植物や無生物(トーテム)との間に交わされる特殊な制度的関係はトーテミスムと呼ばれ、幾多の実地調査が重ねられてきた。しかしそれぞれの《未開》社会を調べるほどに、各事例の間には一般化できない種々の差異があることが分かってきた。
レヴィ=ストロースは、従来のトーテミスム理解は、人間と自然を非連続として捉えるキリスト教的思考の恣意と幻想にすぎないと批判する。フレイザー、ボアズ、マリノフスキー、デュルケームなどのトーテミスム理論を分析しつつ、トーテミスムについての新しい捉え方の先駆をルソーやベルクソンに見いだし、現実(自然)を前にした人間精神の操作、論弁的な思考の構造を明らかにする。
内容説明
19世紀以来、“未開”社会のある社会集団と特定の動植物や無生物(トーテム)との間に交わされる特殊な制度的関係はトーテミスムと呼ばれ、幾多の実地調査が重ねられてきた。しかしそれぞれの“未開”社会を調べるほどに、各事例の間には一般化できない種々の差異があることが分かってきた。レヴィ=ストロースは、従来のトーテミスム理解は、人間と自然を非連続として捉えるキリスト教的思考の恣意と幻想にすぎないと批判する。フレイザー、ボアズ、マリノフスキー、デュルケームなどのトーテミスム理論を分析しつつ、トーテミスムについての新しい捉え方の先駆をルソーやベルクソンに見いだし、現実(自然)を前にした人間精神の操作、論弁的な思考の構造を明らかにする。“未開”社会の中に、人間性の普遍性を探った構造主義人類学宣言の書、『野生の思考』の序説をなす。
目次
今日のトーテミスム(トーテム幻想;オーストラリアの唯名論;機能主義的トーテミスム;知性へ;心の中のトーテミスム)
人類学の課題
著者等紹介
レヴィ=ストロース,クロード[レヴィストロース,クロード] [L´evi‐Strauss,Claude]
1908‐2009。ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。1935‐38年、新設のサン・パウロ大学に社会学教授として赴任、人類学の研究を始める。1941年からニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチで文化人類学の研究に従事。1959年コレージュ・ド・フランスの正教授となり、社会人類学の講座を創設。1982年退官。アカデミー・フランセーズ会員
仲澤紀雄[ナカザワノリオ]
1930年東京に生まれる。1953年東京大学教養学部教養学科フランス科卒業。フランス哲学・思想専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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