出版社内容情報
アメリカはすでに1942年頃から、ナチス・ドイツの敗北を想定し、戦後処理のための情報を収集していた。しかも書き手は、ドイツから亡命してきたフランクフルト学派の名だたる知識人、ノイマン、マルクーゼ、キルヒハイマーたちであった。
第二次世界大戦中にアメリカの「戦略情報局」(OSS、CIAの前身)の調査・分析部、中欧セクションで書かれた秘密文書をここに公刊。第一部「敵の分析」、第二部「崩壊のパターン」、第三部「政治的オポジション」、第四部「非ナチ化と〔占領〕軍事政府」、第五部「新しいヨーロッパのなかの新しいドイツ」、第六部「ニュルンベルクへ」、第七部「新たな敵」の七部構成・31編のドキュメントから日本語版として15編を収録する。
冷戦構造も見据えたアメリカの戦後世界構想はどのようなものであったか、ノイマンたちはどのような思いで何を書いていたのか。歴史的資料として貴重であるのは言うまでもなく、日本の戦後占領政策にも大きな影響を及ぼしたアメリカの「戦略情報局」の実態をはじめて明かした本書は、フランクフルト学派への新たな視点を提供するとともに、今日の政治・社会状況を考えるヒントも与えている。
内容説明
冷戦構造も見据えたアメリカの戦後世界構想はいかなるものであったか。大戦中、ノイマン、マルクーゼらを書き手に、ドイツの戦後処理のための情報を収集していた戦略情報局の秘密文書を公刊。
目次
第1部 敵の分析
第2部 崩壊のパターン
第3部 政治的オポジション
第4部 非ナチ化と“占領”軍事政府
第5部 新しいヨーロッパのなかの新しいドイツ
第6部 ニュルンベルクへ
第7部 新たな敵
著者等紹介
ノイマン[ノイマン] [Neumann,Franz Leopold]
1900‐1954。カトヴィツェ(当時ドイツ領、現在ポーランド)生まれ。ドイツ時代には労働法理論家として活躍。1933年にロンドンに逃れ、カール・マンハイムやハロルド・ラスキと共にロンドン・スクール・オブ・エコノミクスで研究。1936年、ラスキの推薦で社会研究所との交流が始まり、イギリスにおける社会研究所の利益と普及を促進した。その後アメリカに移住
マルクーゼ[マルクーゼ] [Marcuse,Herbert]
1898‐1979。ベルリン生まれ。ドイツ時代には、ハイデガーの指導の下で教授資格論文を意図していた『ヘーゲルの存在論と歴史性の理論』や初期マルクス研究(邦訳『初期マルクス研究―『経済学=哲学草稿』における疎外論』)を発表。1934年にアメリカに渡り、1941年『理性と革命―ヘーゲルと社会理論の興隆』を刊行。戦後刊行された『一次元的人間―先進産業社会におけるイデオロギーの研究』(1964)によって、「学生運動の父」となった
キルヒハイマー[キルヒハイマー] [Kirchheimer,Otto]
1905‐1965。ハイルブロン生まれ。ドイツ時代にはカール・シュミットの指導の下で「社会主義的・ボリシェヴィキ的国家論」という論文で学位を取得。1933年にパリに亡命、社会研究所との関係が始まり、1937年に社会研究所ニューヨーク支部の研究員としてアメリカに渡る。戦後は政党研究者となり、包括政党(キャッチ・オール・パーティ)という用語を生み出した
野口雅弘[ノグチマサヒロ]
成蹊大学法学部教授。政治思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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