出版社内容情報
世界で読まれるコンパクトな名著「人種と歴史」を、第一人者・渡辺公三の新訳で。文化の多様性をふたたび断固擁護した「人種と文化」併収。新序文。
『人種と歴史』は1952年、ユネスコの依頼で書かれた。人種差別の偏見と闘う小冊子シリーズの一冊であり、キャンペーンの背景にはナチス・ドイツの人種理論の根絶という戦後の切迫した問題意識があった。
レヴィ=ストロースは、あらゆる社会に存在する〈自民族(自文化・自社会)中心主義〉の幻想性を突き、徹底した文化相対主義を提示し、鋭利な論理で人種主義の思想的根拠を解体する。著者が論じた核心と、込めた熱意を、レヴィ=ストロース研究の第一人者・渡辺公三の訳はまっすぐに伝える。『人種と歴史』は、フランスでは人種差別反対の基本図書として高校の教材になっているという。レヴィ=ストロース思想全体の理解にも肝要の書であり、『野生の思考』『神話論理』に結実してゆく基本的主題と一貫した倫理的態度のエッセンスが凝縮されている。そして、ここに示された他者の寛容、人類史スケールの歴史観は、時を越え、根源的問いを投げかけてやまない。
1973年ふたたび文化の多様性を断固擁護した「人種と文化」(三保元訳)を併収。長くレヴィ=ストロースと研究をともにした人類学者・民族学者イザールが、両著の書かれた経緯、呼び起こした反響から今日の評価までを解説した序文(2001年)をよせる。
〈「人種と歴史」と「人種と文化」は、今日的意義の照明のもとで一気呵成に読まれるべきではなかろうか。なぜならそれらはひとつの偉大な思考作品として、われわれを取り巻くこの世界と消滅していく諸世界についての同じひとつの考察の、切り離しがたい二側面を共に形作っているからである〉(「序文」)
〈人類の文化の多様性は、われわれの背後に、われわれの周囲に、われわれの眼の前にある。そこでわれわれが主張できるただひとつの要請は(それぞれの個人に、それは対応する義務をうみだす)、ひとつひとつの形態が、他者のもっとも大きな寛容性への寄与となるような、そのような形態のもとで多様性が自らを実現することである〉(「人種と歴史」)
内容説明
同時代世界と向き合い、文化の多様性を断固擁護。鋭利な論理で人種主義の思想的根拠を解体する。古典的名著『人種と歴史』を、第一人者・渡辺公三の新訳で。
目次
人種と歴史(人種と文化;文化の多様性;自民族中心主義;古代文化と未開文化;進歩の理念;停滞的歴史と累積的歴史;西洋文明の位置;偶然と文明;文化間の協働;進歩の二つの意味)
人種と文化
著者等紹介
レヴィ=ストロース,クロード[レヴィストロース,クロード] [L´evi‐Strauss,Claude]
1908‐2009。ベルギーに生まれる。パリ大学卒業。1931年、哲学教授資格を得る。35‐37年サンパウロ大学赴任。41年ニューヨークのニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチ講師としてアメリカへ亡命。47年末パリに戻る。49年ユネスコ開催の「人種に関する専門家会議」で人類博物館副館長としてフランス代表を務め、53年ユネスコ社会科学国際委員会事務局長に着任。59年コレージュ・ド・フランス正教授、73年アカデミー・フランセーズ会員となる。82年コレージュ・ド・フランス退官
渡辺公三[ワタナベコウゾウ]
1949‐2017。立命館大学教授、同大学副学長、学校法人立命館副総長を歴任
三保元[ミホモト]
1932年生。元国際基督教大学教授
福田素子[フクダモトコ]
1947年生。翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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