出版社内容情報
〈意識の流れはある道のりを、そして無意識の流れは別の道のりを進むものだということには気がついていたのですが、どこでこの二つの流れが合流するのかがわかっていなかったのです。(…)超越機能という言葉を用いることで、私は意識と無意識の媒介の可能性について詳しく述べてみたのですが、これは大いなる光明としてやってきたものなのです〉
本書は1925年のチューリッヒにおいて、ユング心理学がまさに産声をあげたセミナーの記録である。
フロイトとの交流と決別、その後に訪れた心の危機、そして〈無意識との対決〉から超越機能へ――。『赤の書』のもととなった自己実験に取り組んだ後のユングによる赤裸々な語りは、『ユング自伝』の素描となった心理療法家の人生の記録であり、心をめぐるひとつの思想の誕生でもあった。
無意識という心の深みへと降りていくことは、われわれにとってどのような経験なのか? そして、ユングはいかにしてそれを可能にしたのか? 広大な思想の最良の手引きと呼ぶべき、ユング心理学誕生のドキュメンタリ。
内容説明
無意識との対決から超越機能へ。ユング自らが生き生きと語ったフロイト、『赤の書』、タイプ論。最良の手引きと呼ぶべき、ユング心理学誕生のドキュメンタリ。
著者等紹介
ユング,C.G.[ユング,C.G.] [Jung,Carl Gustav]
1875‐1961。1875年、スイス北部のケスヴィルにて生まれる。バーゼル大学卒業後、ブルクヘルツリ病院のブロイラーのもとで言語連想実験の研究に従事。その後、フロイトの精神分析運動に参加し、フロイトの後継者と目されるほど、その中心人物として精力的に活動した。1913年にフロイトと決別。その後は独自の心理学の構築に専心し、「コンプレクス」「元型」「集合的無意識」「無意識の補償機能」「内向/外向」「個性化」などの独創的な理論を提唱していった。1961年死去。20世紀最大の心理学者の一人
シャムダサーニ,ソヌ[シャムダサーニ,ソヌ] [Shamdasani,Sonu]
1962‐。歴史学者、著術家。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン教授。フィレモン・ファウンデーションの統括責任者として、これまで未発表だったユング関連の資料(『赤の書』など)に公刊に尽力。心理学や精神医学、特にユング心理学の歴史に関する著作や論文を数多く発表している
マガイアー,ウィリアム[マガイアー,ウィリアム] [McGuire,William]
1917‐2009。ジャーナリスト、編集者。『ニューヨーカー』等で勤務したのち、「ボーリンゲン財団」の出版事業の編集責任者としてユングの著作集、フロイトとユングの往復書簡集などの出版を実現した(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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