- ホーム
- > 和書
- > 文芸
- > 海外文学
- > その他ヨーロッパ文学
出版社内容情報
「僕はアランモアにいる。暖炉にくべた泥炭の火にあたりながら、僕の部屋の階下にあるちっぽけなパブからたちのぼってくるゲール語のざわめきに、耳を澄ませているところだ」
19世紀末、文学の道を志しながらも、パリでさえない日々を送っていたJ.M.シング。友人イエィツにすすめられ、アイルランド辺境のアラン諸島に渡ったシング青年は、おじいたちから島にのこる数々の伝承を聞き、酒場や民家の炉端で島人とのつきあいを深め、またあるときは荒海に乗り出した島カヌー(カラッハ)で漕ぎ手たちと生死をともにする。
苛酷な自然の中で独自の文化を育み、たくましく生きる島人たち。その暮らしぶりを誠実に記録した紀行文学の傑作を、気鋭のアイルランド文学者によるみずみずしい新訳でお届けする。
内容説明
百年以上も前のこと、パリで冴えない日々を送っていた文学青年シングは、詩人イェイツにすすめられてアイルランドの西、ゴールウェイ湾のアラン諸島を訪れた。酒場や民家の炉辺で島人たちとの付き合いを深め、古老の語る逸話に引き込まれる。荒海に島カヌーで乗り出し、漕ぎ手たちと生死を共にすることもあった。シングが弾くフィドルで島人が踊ることもある。その暮らしぶりと、おじいの語りを誠実に書き留めた青春紀行文学の古典の、瑞々しい新訳。詩人の弟ジャック・イェイツの挿絵つき。
著者等紹介
シング,J.M.[シング,J.M.] [Synge,John Millington]
1871‐1909。1871年ダブリン郊外のプロテスタントの家系に生まれる。同市のトリニティ・カレッジを卒業後、ドイツ、イタリア、フランスなどを転々としながら文学や音楽を学ぶ。その後、パリで出会ったW.B.イェイツのすすめでアラン諸島に赴き、『アラン島』(1907年)を著わしたほか、島での取材や体験をモチーフにつかった戯曲を上演、アイルランドの文芸復興に大きく寄与した
栩木伸明[トチギノブアキ]
1958年東京生まれ。現在、早稲田大学文学学術院教授。専攻はアイルランド文学・文化。著書に『アイルランド紀行―ジョイスからU2まで』(中公新書)『アイルランドモノ語り』(みすず書房、第65回読売文学賞随筆・紀行賞)など(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syaori
帽子を編みます