自己責任の時代―その先に構想する、支えあう福祉国家

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自己責任の時代―その先に構想する、支えあう福祉国家

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622088325
  • NDC分類 361.1
  • Cコード C1036

出版社内容情報

貧困、病気、さらには紛争地に赴いた記者の行為に至るまで、あらゆることに言われるようになった自己責任。人々の直感に訴え正論のようにも響くため、根拠が曖昧なまま濫用されてきた。
本書はこのような自己責任論について、社会の構築と運営という広範で現実的な目的に即して、それが何を誤り、損なっているのかを精緻な分析によって示した、おそらく初めての本である。
自己責任の流行は欧米でも同じだ。それは哲学や社会学における静かな変容とともに始まり、1980年代初頭の保守革命の主要素となった。自己責任論が広く有権者の支持を得ると、意外にも左派政党がこれに追随する。本書はまず、政治における自己責任論の興隆を跡づけ、それが社会保障制度に弱者のあら探しを強いてきた過程を検討する。次に「責任」「選択」「運」をめぐる哲学者の議論をふまえて、被害者に鞭打つ行為をやめさせたい善意の責任否定論が、皮肉にも自己責任論と同じ論理を前提にしていると指摘する。じつはこの前提には、信じられているほどの根拠はない。そしてどちらの議論も的を外していることを明らかにしていく。責任とは懲罰的なものではなく、肯定的なものでありうるのだ。
福祉国家の本来の目的とは何だったか。自己責任論が覆い隠してきたこの原点への顧慮を喚起し、自己責任の時代から離脱するための基盤となる一冊。

内容説明

貧困、病気、さらには紛争地に赴いた記者の行為に至るまで、あらゆることに言われるようになった自己責任。人々の直感に訴え正論のようにも響くため、根拠が曖昧なまま濫用されてきた。本書はこのような自己責任論について、社会の構築と運営という広範で現実的な目的に即して、それが何を誤り、損なっているのかを精緻な分析によって示した、おそらく初めての本である。福祉国家の本来の目的とは何だったか。自己責任論が覆い隠してきたこの原点への顧慮を喚起し、自己責任の時代から離脱するための基盤となる一冊。

目次

序―自己責任の台頭
第1章 責任の時代の起源(政治;哲学 ほか)
第2章 責任の時代の福祉国家(「矛」と「盾」に直面する;責任追随的な制度と責任緩和的な制度 ほか)
第3章 責任の否定(運か責任か;道徳的責任が運に打ち勝つ可能性 ほか)
第4章 責任に価値を認める理由(自己への責任;他者への責任 ほか)
第5章 ある肯定的な責任像(前制度的な責任;制度上の価値 ほか)
結語―自己責任の時代を越えて

著者等紹介

モンク,ヤシャ[モンク,ヤシャ] [Mounk,Yascha]
1982年ドイツのミュンヘン生まれ。ケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジを卒業後、ハーヴァード大学で博士号(政治学)を取得。ハーヴァード大学公共政策学講師を経て、現在ジョンズ・ホプキンズ大学国際関係研究所准教授

那須耕介[ナスコウスケ]
1967年京都府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。専門は法哲学

栗村亜寿香[クリムラアスカ]
1987年大阪府生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。現在、同研究科博士後期課程在籍(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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Mc6ρ助

10
『英国政府の行動科学的洞察班は・・より肯定的な責任観をとった場合の効果を試す・・求職者は、これまでどんな努力をしてきたかではなく、就職につながる「将来の活動への具体的な約束 」を尋ねられた。その結果はめざましいものだった。有給職への就職者数が劇的に増加しただけでなく、興味深いことに、職業安定所自体の職員がより熱心かつ喜んで職務に従事するようになった(p208)』ややもすれば自己責任を厳しく問われるこの頃、著者の言うごとく人のせいとも言い切れないなら、肯定的に捉えなければやってられない、やっていけない。2020/02/27

青雲空

6
モンク2冊目。非常に難解で、巻末の訳者解説だけでいいかも。100分de名著スタイルです。 近年、我々は責任の意味を曲解している。責任とは自己責任論者が言うようにその人の過去の行動に対する懲罰ではない。また、福祉は気の毒な人への上から目線の庇護であってもならないと。 モンクが提唱するのは、誰もが責任ある主体として自分の生活をみずから選び取ってゆくことを最大限に保障され、その可能性が保たれる範囲でのみ自分の選択の結果にも責任を負う、社会である。2022/07/17

人生ゴルディアス

4
エッセイ的なあれでしょう?とか思って軽い気持ちで読んだらかなり論理的な哲学してた。「責任」という言葉は昔は「他者への義務」として理解されていたが、いつの間にか「自活すること」という意味合いになってきた。また、昔は社会の構造や規範などが個人に与える影響がでかすぎるから個人の選択など無意味に等しく(だから自己責任など問わず)困窮している人には援助を、というスタンスだった。本書にはないが、リベラリズムがあらゆる文化規範から人を自由にしようとして伝統やらを壊してきたから、必然的に責任が個人のところに下りてきた感じ2020/03/30

shin

4
公共政策の本として、政治哲学としてオススメできる本。自己責任という言葉で個人の行動の責任を糾弾する言説が聞かれる今、その構成要件を解体し、より肯定的に責任を捉え、その実現のための公共政策の探求も行っている。問題意識、論点設定、論点検証と批評、提言まで、全てが切れ味鮮やか。 難解な術語は確かに多いものの、論理構造は明快であるため専門外でも読みこなすことが可能。結論は第5章に要約されているので、そこから読み始めてもよい。2020/01/11

緑虫

2
★★★☆ かつては他者な対するものとして用いられていた「責任」という語が自己の結果に対する「責任」に変わるまでの政治的潮流の変遷、懲罰的自己責任論への批判、責任否定論への批判、積極的責任論の提唱など。我々は決して自ら責任を負いたくないわけではなく、自らの生に責任を負うことは自尊に繋がっているという指摘にはハッとさせられたが、そこを足掛かりにしていかに懲罰的自己責任論を乗り越えるかという点についての記述は弱いか。2020/09/26

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