出版社内容情報
マツタケをアクターとして、人間と人間以外のものの関係性、種間の絡まりあいをつぶさに論じ、数々の賞にかがやいたマルチスピーシーズ民族誌の成果を、ここにおくる。
日本・アメリカ・中国などの共同研究者とのフィールドワークを通して、マツタケの発生から採取、販売・貿易、日本人の食に供されるまでの過程に、著者は多くを観察し、学んでゆく。森林伐採、景観破壊、戦争による東南アジア難民、里山再生、コモディティ・チェーンとサルベージを通じた蓄積など、資本主義がもたらした瓦解からいかに非資本主義的様式が生まれ、両者が絡まりあいながら、人間と人間以外のものが種を超えて共生しつつ世界を制作しているのか。コモンズの可能性や学問研究のあり方までを射程に入れ、人間中心主義を相対化した、鮮やかな人類学の書。
内容説明
マツタケをアクターに、資本主義の破壊的現実を背景に、人間と人間以外のものの絡まりあいと関係性の諸相を縦横に描き数々の賞に輝いた、鮮かな人類学研究。
目次
第1部 残されたもの(気づく術;染めあう;スケールにまつわる諸問題)
第2部 進歩にかわって―サルベージ・アキュミュレーション(周縁を活かす;オレゴン州オープンチケット村;国家におこったこと―ふたとおりのアジア系アメリカ人;ドルと円のはざま;贈り物・商品・贈り物;サルベージ・リズム―攪乱下のビジネス)
第3部 撹乱―意図しえぬ設計(森のいぶき;歴史;セレンディピティ;残骸;科学と翻訳;飛びまわる胞子)
第4部 事態のまっただなかで(まつたけ十字軍―マツタケの応答を待ちながら;みんなのもの;結末に抗って―旅すがらに出会った人びと)
著者等紹介
チン,アナ[チン,アナ] [Tsing,Anna Lowenhaupt]
カリフォルニア大学サンタクルス校文化人類学科教授。エール大学を卒業後、スタンフォード大学で文化人類学の博士号を取得。フェミニズム研究と環境人類学を先導する世界的権威。おもにインドネシア共和国・南カリマンタン州でフィールドワークをおこない、森林伐採問題の社会経済的背景の重層性をローカルかつグローバルな文脈からあきらかにしてきた
赤嶺淳[アカミネジュン]
一橋大学大学院社会学研究科教授。専門は東南アジア地域研究・食生活誌学。ナマコ類と鯨類を中心に野生生物の管理と利用(消費)の変容過程をローカルな文脈とグローバルな文脈の絡まりあいに注目し、あきらかにしてきた(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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yyrn
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