出版社内容情報
「『アンチ・オイディプス』と『千のプラトー』はマルクスに、マルクス主義に完璧に貫かれた作品です。現在、私は自分のことを完全にマルクス主義者だと考えています」(ジル・ドゥルーズ)
「〈もし資本と労働が出会ったのであれば〉という条件法のカタパルトなくして産業資本主義は現実に成立しなかった。両者の結合は必然ではないし、因果関係にもない。だとすれば〈もし資本と労働が出会わなかったのであれば〉をカタパルトとして描きだされる軌道を〈私たち〉には構想することができるし、その構想を実現することもできるのではないか。資本主義が私たちの脳に投影する私有制ユートピアとは異なる世界、封建制による拘束からの逃走が資本主義による労働力商品の捕獲と順接せず、ねじれて遠ざかりつづけていく世界を描出できるのではないか」
資本主義を歴史化し、物語を終わらせること。ドゥルーズ哲学と「歴史家」マルクスとの遭遇から垣間見るコミュニズムという近傍ゾーン。
内容説明
資本主義を歴史へと帰還させ、「物語」を終わらせること。ドゥルーズ哲学・現代思想と「歴史家」マルクスとの遭遇から垣間見るコミュニズムという近傍ゾーン。
目次
1 歴史・哲学・政治(ドゥルーズ‐ガタリと歴史―『資本主義と分裂症』を読む;公理と指令―ドゥルーズ‐ガタリのレーニン;「原国家」の射程―イスラーム国以後に問う;矛盾は失効したのか―ドゥルーズ、バディウによるヘーゲル変奏)
2 「来るべき民衆」の物語(物語と襞―ドゥルーズの叙述的知性;分裂と綜合―ガタリ、ベンヤミン、ライプニッツ;無限小の政治―マルクスにおける「歴史」概念再考;「絶対貧困」のほうへ―零度のプロレタリアート)
3 「労働」とユートピアのゆくえ(レンタル・ライフ―ポストフォーディズム時代の労働;労賃とは別の仕方で―『経済学批判要綱』から『生きた貨幣』へ;労働と芸術―ベンヤミンとクロソウスキー)
可能世界のドゥルーズ―ネグリが語る『マルクスの偉大』
著者等紹介
松本潤一郎[マツモトジュンイチロウ]
1974年、東京生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程修了。就実大学人文科学部表現文化学科准教授。フランス文学・思想・哲学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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