ショパンの詩学―ピアノ曲“バラード”という詩の誕生

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  • サイズ A5判/ページ数 399p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622087595
  • NDC分類 763.2
  • Cコード C0073

出版社内容情報

ショパンは感傷的なサロン音楽の作者と目されがちだが、自作に《ワルツ》《マズルカ》等ジャンル名のみを与えてロマンチックな標題を付すことはなく、純粋音楽の創造に心血を注いだ。その中で彼が独自に興したジャンルが《バラード》である。本書は、これまで軽視されていたショパンの歌曲に注目すべき要素を見出し、《バラード》創造の来歴と芸術性を初めて解明した。作曲家の真髄を研究史の死角から救い出す若手研究者の快挙。

内容説明

ショパンはその生涯に多くの歌曲を書いた。古典主義からロマン主義への過渡期にあった同時代6人の詩人の詩にショパンが付曲したものが主であるが、生前には刊行されず、ショパン作品群の中での位置づけは低い。これまで軽視されていたショパンの歌曲について、本書はまず詩の精緻な分析を行った上で、ショパンの付曲がいかに見事に各詩に対応しているかを明らかにする。ショパンは感傷的なサロン音楽の作者と目されがちで、そのような意味で「ピアノの詩人」と呼ばれてきた。しかし本当は、まったく別の意味でそう呼ばれるべきだったのではないか。作曲家の真髄を研究史の死角から救い出した、若手研究者の快挙。

目次

ショパンと文学―新たな視座から
第1部 6人の詩人から読み解くショパンの歌曲―その詩の構造と作曲技法との関わり(19世紀初頭ポーランドの文学と音楽―“第1部”導入として;オシンスキ―屈折した最後の啓蒙主義詩人;ミツキェヴィチ―「開かれた形式」の誕生へ;ヴィトフィツキ―生涯の友となった田園詩人 ほか)
第2部 “バラード”の条件―ショパンが生んだ新ジャンルをめぐって(ポーランド文学の「バラード」に対峙するショパン;叙事詩的特徴―バラードを支えるトリニティ(1)
抒情詩的特徴―バラードを支えるトリニティ(2)
戯曲的特徴―バラードを支えるトリニティ(3))
ピアノの「詩人」―ショパンがポーランドの言葉から得たもの

著者等紹介

松尾梨沙[マツオリサ]
1983年、福岡県生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。2010~2013年、ワルシャワ大学音楽学研究所へ留学、同大学ポーランド文学研究所でも学ぶ。日本学術振興会特別研究員DC1を経て、2018年3月、東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、日本学術振興会特別研究員PD(一橋大学)。専門は音楽学、比較芸術。ピアノを迫昭嘉氏に師事。第53回全日本学生音楽コンクール福岡大会ピアノ部門第2位(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

七草奈々子

4
優れた本。ショパンの《バラード》がバラードたる所以を根拠付けることを目論む。ショパンの歌曲の分析、およびポーランド詩学を通して《バラード》のバラード性を描出してゆくさまは極めて刺激的である。歌曲分析に関しても、第三章、第八章で得られる成果は特に興味深い。2019/02/24

999

2
面白かった。 音楽の鑑賞の仕方が変わったように思う。2021/04/30

みかん

1
ようやく読み終えたが、ポーランド語に詩学や音楽まで知識が広く深過ぎるので、読みながら「力こそパワー…」としか言えなくなってしまった(後書きに「さすがにつらかった」という旨が書かれてて安心した) ショパンが「詩人」と呼ばれる理由は、甘美な感傷への揶揄ではなく、文学としての詩を理解し再構築していたから。バラードは具体的な物語を安直に付随させるのではなく、構造を味わう曲。ショパンバラードの見え方がガラリと変わる傑作。2021/08/04

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