出版社内容情報
心脳問題、さまざまな学派による派閥主義、DSMという診断名のカタログ――。精神医学はなぜ扱う者によって多様になり、かくも理解が困難な学問になってしまったのだろうか?
現在の精神科医が立脚するすべての立場は、あくまで精神医学の部分的な理解にすぎず、立場によって患者そのものが異なって見えていると著者たちは言う。本書はそうした多種多様な表れ方、そして捉えられ方をする精神障害を4つの観点を用いて分類し、治療の体系化を試みるものである。
患者は何を「もっている」か(疾患)、患者は生来何で「ある」か(特質)、患者は何を「行っている」か(行動)、そして患者は何に「直面している」か(生活史)。この4つの観点によって解決すべき問題が明らかになり、はじめて患者の人生をよりよく変化させうる方法を選択することができるのである。
データサイエンスが医学を席巻する時代において、学派を超えて共有すべき精神医学の役割とは何か。長らくジョンズ・ホプキンス大学精神医学部門を牽引してきた著者たちによる、臨床と研究のためのベーシックテキスト。
内容説明
精神障害の分類、それは現代精神医学のスタートであり、ゴールである。疾患、特質、行動、生活史の4つの「観点」から障害の分類と治療の体系化を試みた、臨床と研究のためのベーシックテキスト。
目次
第1部 精神医学の診断と説明
第2部 疾患の観点の概念
第3部 特質の観点の概念
第4部 行動の観点の概念
第5部 生活史の観点の概念
第6部 四つの観点の臨床的適用
著者等紹介
マクヒュー,ポール[マクヒュー,ポール] [McHugh,Paul R.]
ハーバード大学卒業。米英の病院での研鑽を経て、コーネル大学、オレゴン・ヘルスサイエンス・センターの精神科教授などを歴任。1975年にジョンズ・ホプキンス大学に移り、同大学で精神科主任、精神行動科学分野の教授を務めた。この業績をもって1998年にジョンズ・ホプキンス大学より大学特別エンダウドチェア・ポジションを得て、現在も活躍している。米国医学アカデミー会員
スラヴニー,フィリップ[スラヴニー,フィリップ] [Slavney,Phillip R.]
アルバート・アインシュタイン医科大学卒業。ピース・コープの医師としてブラジルに滞在した期間を含めて、医学一般、神経学、精神医学の臨床修練を積み、コーネル大学関連のニューヨークの病院にて共著者のポール・マクヒューと出会う。その後、マクヒューとともにオレゴン・ヘルスサイエンス・センターへ移る。1976年にマクヒューのジョンズ・ホプキンス大学への移動に伴い、同大学に移動。精神科初期教育プログラム長、教授として精神医学部門の中核を担ったのち、現在は名誉教授
澤明[サワアキラ]
東京大学医学部卒業、同大学院医学研究科修了(臨床精神医学専攻)。現在、ジョンズ・ホプキンス大学統合失調症疾患センター長、ジョンズ・ホプキンス大学医学部ならびに公衆衛生学学部教授、エンダウドチェア。専門は臨床精神医学、神経科学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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