出版社内容情報
清教徒が建国した米国で、国民は映画を観るたび聖書に出会う。歴史物・SF・ラブコメ…映画を愛する聖書学者が読み解く文化の深層。ピューリタンが建国した合衆国で、市民は映画を観るたびに聖書に出会う。そしてハリウッド映画は世界中に配給され、外国映画にも土台を提供している。
映画のかたちをとった聖書物語もあれば、映画の中の聖書モチーフもある。戦争・公民権運動・テロ攻撃・環境問題……映画は聖書を使いながら、様々な時と場所の中に時代の関心や恐れ、希望を投影してきた。
たとえば『十戒』『ベン・ハー』など旧約聖書叙事詩映画は、東西冷戦期のアメリカを古代イスラエルに結びつけ、圧政からの解放者、自由の覇者という国家観を暗示した。また、自らを救わずとも他者を救い、周りの人々を変えていくキリスト的人物像は、西部劇やラブ・コメディ、スーパーヒーロー映画などに欠かせない。
近年の驚くべきテクノロジーは、自然災害・天体の衝突・核戦争・伝染病などによる「世界の終わり」の映像をつくりだした。SF映画『ブレードランナー』『アバター』『トゥモロー・ワールド』などで描かれる終末世界の源泉には聖書的表象がある。
そして私たちは映画によって超越を体験する。たとえ一瞬だとしても、自分の世界を超えた世界の可能性を垣間見るのだ。
聖書学者が聖書学と映画学を体系的に統合し、アメリカ文化の底流にあるものを読み解いた、類例のない書をおくる。
一章 前口上 聖書映画というジャンル──「幻をもとめて」
第 I 部 映画のかたちをとった聖書
二章 旧約叙事詩映画──「記されたとおり」
三章 銀幕のイエス──「私は主を見ました」
四章 古代活劇映画とキリスト教──「すべての民をわたしの弟子にしなさい」
五章 叙事詩映画と寓喩──「イエスならどうなさるか?」
第 II 部 映画の中の聖書
六章 現代的な見かけの旧約聖書──「子や孫にも語り伝えなさい」
七章 キリスト的人物像の映画──「人の子のような方」
八章 映画と道徳──「公義、ただ公義をのみ追求しなさい」
九章 破壊と救済──「その時には」
結び 映画と超越──「わたしの心は喜び、魂は躍ります」
注
訳者あとがき
文献一覧
映画作品名索引
アデル・ラインハルツ[アデル ラインハルツ]
著・文・その他
栗原詩子[クリハラ ウタコ]
翻訳
内容説明
ピューリタンが創建した国アメリカで、あまたある映画が聖書を利用してきた。神と人と宇宙のドラマが社会を映し出す。聖書学者が映画から読み解く文化の深層。
目次
前口上・聖書映画というジャンル―「幻をもとめて」
第1部 映画のかたちをとった聖書(旧約叙事詩映画―「記されたとおり」;銀幕のイエス―「艇は主を見ました」;古代活劇映画とキリスト教―「すべての民をわたしの弟子にしなさい」;叙事詩映画と寓喩―「イエスならどうなさるか?」)
第2部 映画の中の聖書(現代的な見かけの旧約聖書―「子や孫にも語り伝えなさい」;キリスト的人物像の映画―「人の子のような方」;映画と道徳―「公義、ただ公義をのみ追求しなさい」;破壊と救済―「その時には」)
結び 映画と超越―「わたしの心は喜び、魂は躍ります」
著者等紹介
ラインハルツ,アデル[ラインハルツ,アデル] [Reinhartz,Adele]
聖書学者。トロント大学にて学士号(宗教学)、マクマスター大学にて修士号ならびにPh.D.取得。トロント大学准教授、マクマスター大学教授、ウィルフリッド・ローリエ大学教授を経て、オタワ大学古典宗教学研究科教授。カナダ聖書学会では1997年度に会長を務め、2003年聖書文芸学会「助言者」賞、2004年ロックフェラー財団「ベッラージョ」レジデンス、2016年ボストン・カレッジ・コルコラン研究所客員議長。2005年よりカナダ王立協会会員
栗原詩子[クリハラウタコ]
1973年、東京生まれ。音楽学・映画学を専攻。東京藝術大学にて学士号・修士号(音楽学)、九州大学にて博士号(芸術工学)を取得。九州大学助教を経て、西南学院大学国際文化学部准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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Witch丁稚




