出版社内容情報
1941年9月、ナチス・ドイツ軍は250万の市民が暮らすレニングラードの包囲を完了した。食料と燃料の供給が断たれ、冬が迫り、飢餓が始まる。人々は犬や猫をスープにし、革ベルトやコートの毛皮、イラクサを煮て食べた。包囲は872日間におよび、80万人以上が犠牲となった。
「日記よ、わたしの悲しみを大切にしまっておいて」16歳のレーナは腹いっぱい食べることを夢見ながら、日記を書きつづける。
最後の平和な学校生活と開戦後の日々。砲撃の恐怖、食事の記録、読書、恋、未来への希望。そして母の餓死によって、レーナはひとり残された。
配給のパンを求めて街を駆けまわる。レーナは恐ろしい不安な日々に、食べ物と言葉にしがみつくことで生きのびていく。
空腹と孤独の底で、動物学者になる将来の夢をつむいだ。100グラムのパンと交換で子ネズミを手にいれて飼い、食べ物はすべて分け合おう。亡きママたちへの愛情を小さな生きものに注ぐのだ。
春が来ると、レーナは必死に包囲からの脱出をめざした。そして出発を目前にして、日記はとぎれる。
1962年、誰かの手でレニングラードの文書館に届けられ、眠ったままになっていた日記を、21世紀になって歴史学者が発掘、出版された。少女の日記が甦らせる、ぎりぎりの生存、歴史の記憶。
内容説明
1941年9月、ナチス・ドイツ軍は250万の市民が暮らすレニングラードの包囲を完了。包囲は872日間におよび、80万人以上が犠牲となる。飢餓と爆撃と酷寒の都市で、食べ物と言葉への執着が命をつないだ。16歳の少女が圧倒的筆力でとらえた独ソ戦下の生活。発掘された「レニングラードの『アンネの日記』」。
著者等紹介
ムーヒナ,エレーナ[ムーヒナ,エレーナ] [Мухина,Елена]
1924年ウファに生れる。30年代初めにはレニングラード(現在のサンクトペテルブルク)に移住し、病弱な母に代わって、元バレリーナで舞台美術の仕事をしていた伯母に育てられる。独ソ戦開戦時は16歳、レニングラード第30学校の女子生徒。包囲されたレニングラードから、親戚の暮らすゴーリキー市(現在のニジニ・ノーヴゴロド)への脱出をめざす。1991年モスクワにて没
佐々木寛[ササキヒロシ]
1949年盛岡市生れ。早稲田大学第一文学部ロシア文学科卒、同大学院文学研究科ロシア文学専攻博士課程単位取得退学。信州大学教養部助教授、同人文学部教授、同全学教育機構教授を経て、信州大学名誉教授。専門はロシア文学、文学理論
吉原深和子[ヨシハラミワコ]
1965年横浜市生れ。1987年東京外国語大学外国語学部ロシヤ語学科卒業、95年早稲田大学大学院文学研究科ロシア文学専攻博士課程単位取得退学。芝浦工業大学非常勤講師(ロシア語、1993‐95)、信州大学非常勤講師(同、1995‐2001および2009‐13)。専門は20世紀ロシア文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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藤月はな(灯れ松明の火)
藤月はな(灯れ松明の火)
hiroizm
白玉あずき
キクチカ いいわけなんぞ、ござんせん