解離―若年期における病理と治療

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  • サイズ A5判/ページ数 560p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622086369
  • NDC分類 493.74
  • Cコード C3047

出版社内容情報

〈「解離」は1990年代以来、精神医学のもっとも白熱したテーマである。実際、精神科臨床の緊急問題であって、それは特に米国においてであるが、わが国において児童虐待、性的虐待、PTSDに関連して無視できない重要な臨床的問題となってきた。犯罪関連でも今後大きな問題となる可能性がある。しかも、解離は本書にあるとおり、診断も治療も非常に困難であって、現代精神医学に対する最大の挑戦の一つとなっている〉(「訳者あとがき」より)

本書は、「解離」を包括的に描いたはじめての書である。副題に「若年期における病理と治療」とあるが、これは主題の限定を意味するのではなく、解離性障害の多くが児童/青年期に受けた虐待や非道処遇と密接に関連しているからである。なかでも解離性同一性障害ともいわれる多重人格性障害では、その傾向が著しい。
著者は、長年の研究から、一見奇怪な解離性症状、たとえば複数の交代人格の出現なども、同一性の確立と基本的発達過程の挫折ととらえ、発達論的見地から病的解離を理解しようとする。正常な解離と病的解離のちがいや解離性障害の診断から、どのような治療を、特に発達途上の児童/青年に行なうべきかまで、現在のアメリカの研究を総動員した本書は、医師・専門家や被害者・関係者にとって不可欠の書となろう。児童虐待のニュースが毎日のように伝えられる一方、多重人格性障害についての誤った情報も夥しいこの国で、本書刊行の意義はきわめて大きいと考える。

内容説明

病院としての児童虐待や性的虐待、多重人格性障害の診断、発達途上の児童/青年に行なう治療…危急の問題に方向性を示す。「解離」を包括的に描いたはじめての書。

目次

児童期心的外傷と非道処遇の本性と効果
非道処遇の転帰への影響因子と共通主題
解離序説
病的解離
外傷・解離・記憶
病的解離のモデルをめざして
「離散的行動状態」モデル
解離の発達的基盤
日常生活における解離と変成状態
解離症例提示―症例素描
臨床的現象学と診断
治療の哲学と原則
個人治療
解離性家族と家庭外居住
精神薬理学

著者等紹介

パトナム,フランク・W.[パトナム,フランクW.] [Putnam,Frank W.]
1947年に生まれる。1975年インディアナ大学医学部卒業。神経生理学の学位を取得後、イェール大学精神科で研修を行なう。この期間中にPTSDのベトナム帰還兵の治療を担当したことを契機に、トラウマ研究の道に進むことを決意する。その後NIMH(国立精神保健研究所、後に統合されてNIH国立保健研究所)研究員となり、多重人格性障害の研究に従事する一方、臨床コンサルタントとして活躍。1999年からオハイオ州シンシナティの子ども病院付属メイヤーソン・センター所長に転出し、児童虐待防止プログラムの開発に携わる

中井久夫[ナカイヒサオ]
1934年奈良県生まれ。京都大学医学部卒業。神戸大学名誉教授。精神科医(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

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