原因と偶然の自然哲学 (新装版)

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原因と偶然の自然哲学 (新装版)

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  • サイズ A5判/ページ数 225p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622085898
  • NDC分類 420
  • Cコード C3042

出版社内容情報

確率論的な理論構成の量子力学が、因果律や決定論と矛盾するものではないことを説明し、その哲学的な基礎づけを提示する。本書は、近代物理学の発展に即して因果律や決定論の意味を分析し、量子力学の統計的法則性に哲学的基礎づけを与えたものである。
ハイゼンベルクは、原子内の電子の運動や軌道といった直接には観測にかからないものを放棄し、原子から放出される光の振動数や強さなど物理的に観測できるものによって理論を構成すべきであると提唱した。この要請の重要性に着目したボルンは、それが数学的には行列論によって理論展開できることに気づき、ボルン‐ハイゼンベルク‐ヨルダンによって「行列力学」が定式化された(1925年)。
ボルンはまた、シュレーディンガーの波動関数は粒子の実体そのものを記述したものではなく、その存在確率を示すものと解釈すべきことを提案した(1926年)。これが「波動力学の確率解釈」といわれるもので、以後の量子力学の発展に大きな役割を果すことになる。こうして、観測の理論は原理的な意味をもって物理学に登場し、古典的な粒子像から新しい量子力学的描像への一大変革がなしとげられたのである。
本書は、まず古典力学において確立された「原因」と「偶然」の概念を検討し、これらの概念を基礎にその後の物理学の展開を跡づける。そして、統計的・確率的性格をもつ量子力学が物理学の基礎理論としての資格をもつか否かを問い、確率論的な理論構成は因果律や決定論と矛盾するものではなく、むしろ巨視的現象をも包括する普遍法則となりうることが提示される。
著者は自ら量子力学の建設に貢献をなしたほか(1954年ノーベル物理学賞受賞)、幾多の俊才を育てたことでも知られる。


まえがき
記号

第 I 章 序論
第 II 章 因果律と決定論
第 III 章 例証:天文学と質点力学
第 IV 章 近接
連続体の力学/電磁場/相対論と重力場の理論
第 V 章 先行:熱力学
第 VI 章 偶然
気体分子運動論/統計力学/一般分子運動論
第 VII 章 偶然と先行
第 VIII 章 物質
質料、エネルギー、および輻射/電子と量子
第 IX 章 偶然
量子力学/非決定論的物理学/量子論的物質運動論
第 X 章 形而上学的結論

付録
1. 多重原因(II, p. 8)
2. ケプラーの法則からニュートンの法則を導くこと(III, p. 13)
3. 連続体に関するコーシーの力学(IV, p. 21)
4. マックスウェルの電磁場の方程式(IV, p. 25)
5. 相対論(IV, p. 28)
6. 古典および現代熱力学について(V, p. 39)
7. 接近の定理(V, p. 40)
8. 化学平衡の熱力学(V, p. 44)
9. 気体中の音速(V, p. 45)
10. 不可逆過程の熱力学(V, p. 45)
11. 気体分子運動論の基礎(VI, p. 47)
12. 統計的平衡(VI, p. 50)
13. マックスウェルの汎関数方程式(VI, p. 51)
14. 最も確からしい分布の方法(VI, p. 52)
15. 平均値の方法(VI, p. 54)
16. ボルツマンの衝突積分(VI, p. 55)
17. 気体における不可逆性(VI, p. 57)
18. 統計力学の定式化(VI, p. 29)
19. 準周期性(VI, p. 62)
20. ゆらぎとブラウン運動(VI, p. 63)
21. 多重分布関数の還元(VI, p. 67)
22. 多重分布関数をつくること(VI, p. 67)
23. 流体の一般論から衝突積分を導くこと(VI, p. 68)
24. 流体における不可逆性(VII, p. 71)
25. 原子物理学(VIII, p. 74)
26. 単分配の法則(VIII, p. 76)
27. 量子力学における演算子法(VIII, p. 90)
28. 不確定性原理の一般的定式化(IX, p. 93)
29. ディラックによる量子力学におけるポアッソン括弧の導き方(IX, p. 95)
30. 密度行列に対する摂動論(IX, p. 99)
31. 量子統計の汎関数方程式(IX, p. 110)
32. 気体の縮退(IX, p. 111)
33. 量子論的運動方程式(IX, p. 113)
34. 超伝導(IX, p. 116)
35. 思考経済(X, p. 121)
36. 結びのことば(X, p. 124)

補遺(1950年)
訳者あとがき
索引

マックス・ボルン[マックスボルン]
1882-1970。ドイツのブレスラウに生れる。1907年ゲッチンゲン大学卒業。1921-33年ゲッチンゲン大学数授。1933年ナチスのユダヤ人追放により渡英。1933-36年ケンブリッジ大学講師を経て、1936-53年エディンバラ大学教授。量子力学の開拓者の一人。1954年ボーテとともにノーベル物理学賞を受賞。

鈴木良治[スズキリョウジ]
1916年静岡県に生れる。1941年東北大学理学部物理学科卒業。元東京理科大学教授。理学博士。原子核物理学専攻。1992年歿。著書『物理学読本』(共著、みすず書房、1969)『電磁気学』(現代物理学演習講座5、共立出版、1961)。訳書 マックス・ボルン『現代物理学』(金関義則と共訳、全2巻、1954、合本1964)同『原因と偶然の自然哲学』(1984)、フレッド・ホイル『人間と銀河と』(みすず科学ライブラリー41、1973、以上みすず書房)。

内容説明

確率論的な理論構成の量子力学が、因果律や決定論と矛盾するものではないことを説明し、その哲学的な基礎づけを提示する。

目次

第1章 序論
第2章 因果律と決定論
第3章 例証:天文学と質点力学
第4章 近接
第5章 先行:熱力学
第6章 偶然
第7章 偶然と先行
第8章 物質
第9章 偶然
第10章 形而上学的結論
付録

著者等紹介

ボルン,マックス[ボルン,マックス] [Born,Max]
1882‐1970。ドイツのブレスラウに生れる。1907年ゲッチンゲン大学卒業。1921‐33年ゲッチンゲン大学教授。1933年ナチスのユダヤ人追放により渡英。1933‐36年ケンブリッジ大学講師を経て、1936‐53年エディンバラ大学教授。量子力学の開拓者の一人。1954年ボーテとともにノーベル物理学賞を受賞

鈴木良治[スズキリョウジ]
1916年静岡県に生れる。1941年東北大学理学部物理学科卒業。元東京理科大学教授。理学博士。原子核物理学専攻。1992年歿(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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roughfractus02

11
偶然はなく全てが必然であるという決定論的世界では、物事は因果的に説明できる。著者は量子力学の立場から古典力学における決定論を否定するのでなく、両立すると解釈する。シュレーディンガーの波動関数を確率論的に解釈した著者は、本書で量子論を系の量子論的状態は決定論的だが観測結果が確率的になるとし、従来の決定論を捉え直して非決定論との関係を新たにした。この場合、従来の因果性は量子論的状態と観察結果を一意的に結びつける実在論的な関係解釈となる。本書後半の付録は、長年のアインシュタインとの書簡のやりとりを彷彿とさせる。2022/02/03

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