出版社内容情報
16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿絵を材料にして転移現象を論ずる。錬金術過程=二人の間の個性化過程を探求。メルクリウスの泉/王と女王/裸の真実/浴槽の水に漬かること/結合/死/魂の上昇/浄化/魂の帰還/新たな誕生…。
このように目次を見てくると、一見タイトルとはかけ離れているように思われるかもしれない。ユングは本書で、16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿し絵を材料にして転移現象を論ずるのである。
変容の場である「メルクリウスの泉」から始まり、新しい全体性の成就である「新たな誕生」に至る10枚の絵。これは対立物が結合する錬金術過程を示しており、転移が進行していく過程でもある。「錬金術師の経験は、ある意味では、私の経験であり、彼らの世界は私の世界であった」というユングは、転移の理解に、錬金術の考え方を縦横に援用するのである。
しかしこうしてみると、ユングは転移という名で、実は個性化過程を語っていることがわかる。ただし一人の人間が自分だけで進める個性化ではなく、二人の人間の間で進行する個性化過程なのである。ユングの心理療法を知るうえで、もっとも重要な書。
[初版1994年9月]
序文
総論
『哲学者の薔薇園』の一連の挿し絵を材料にして転移現象を論じる試み
第一章 メルクリウスの泉
第二章 王と女王
第三章 裸の真実
第四章 浴槽の水に漬かること
第五章 結合
第六章 死
第七章 魂の上昇
第八章 浄化
第九章 魂の帰還
第十章 新たな誕生
結語
原注
訳注
解説
訳者あとがき
索引
C・G・ユング[ユング ]
1875年7月26日、スイス北部のケスヴィルにて生まれる。バーゼル大学卒業後、ブルクヘルツリ病院のブロイラーのもとで言語連想実験の研究に従事。その後、フロイトの精神分析運動に参加し、フロイトの後継者と目されるほど、その中心人物として精力的に活動した。1913年にフロイトと決別。その後は独自の心理学の構築に専心し、「コンプレクス」「元型」「集合的無意識」「無意識の補償機能」「内向/外向」「個性化」などの独創的な理論を提唱していった。1961年6月6日、死去。20世紀最大の心理学者の一人。
林道義[ハヤシミチヨシ]
1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。元東京女子大学教授。著書『ユング』(清水書院、1980)『ユング心理学の応用』(みすず書房、1988)『ユングの心理学と日本神話』(名著刊行会、1995)『父性の復権』(中公新書、1996)『主婦の復権』(講談社、1998)『図説ユング』(河出書房新社、1998)『ユング思想の真髄』(朝日新聞社、1998)『フェミニズムの害毒』(草思社、1999)『母性の復権』(中公新書、1999)『母性崩壊』(PHP研究所、1999)『ユング心理学入門 I-III』(PHP研究所、2000)『家族破壊』(徳間書店、2000)ほか。訳書 ウェーバー『政治論集』1(共訳、1982)ユング『タイプ論』(1987)『ヨブへの答え』(1988)『心理療法論』(1989)『個性化とマンダラ』(1991)『連想実験』(1993)『転移の心理学』(共訳、1994、以上みすず書房)『元型論』増補・改訂版(1999)ノイマン『意識の起源史』(全2巻、1984-85、以上紀伊國屋書店)。
磯上恵子[イソガミケイコ]
1957年茨城県に生れる。1981年東京女子大学文理学部哲学科卒業。1983年都立大学人文学部独文学科卒業。翻訳 M-L・フォン・フランツ『永遠の少年』(共訳、紀伊國屋書店、1982)、ユング『転移の心理学』(共訳、みすず書房、1994)。
内容説明
ユングは本書で、16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿し絵を材料にして転移現象を論ずるのである。変容の場である「メルクリウスの泉」から始まり、新しい全体性の成就である「新たな誕生」に至る10枚の絵。これは対立物が結合する錬金術過程を示しており、転移が進行していく過程でもある。ユングの心理療法を知るうえで、もっとも重要な書。
目次
第1章 メルクリウスの泉
第2章 王と女王
第3章 裸の真実
第4章 浴槽の水に漬かること
第5章 結合
第6章 死
第7章 魂の上昇
第8章 浄化
第9章 魂の帰還
第10章 新たな誕生
著者等紹介
ユング,C.G.[ユング,C.G.] [Jung,Carl Gustav]
1875‐1961。スイスのケスヴィルに牧師の子として生れる。バーゼル大学医学部卒業後、チューリッヒ大学の神経科でブロイラーの指導を受ける。フランスに留学しジャネの下で研究、帰国後、連想実験による研究を発表し有名になる。1907年フロイトと知り合い、精神分析学の発展に寄与するが、1913年に訣別、独自の分析心理学を創始する。精神病、夢、神話などの研究を通じて無意識の構造を明らかにする。後にイメージやシンボルの研究によって人間の宗教性の問題を深く追求する
林道義[ハヤシミチヨシ]
1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。元東京女子大学教授
磯上恵子[イソガミケイコ]
1957年茨城県に生れる。1981年東京女子大学文理学部哲学科卒業。1983年都立大学人文学部独文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Gotoran
roughfractus02
rootstock1998
-
- 和書
- 熱帯農学概論