転移の心理学 (新装版)

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  • サイズ B6判/ページ数 288,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622085492
  • NDC分類 146.1
  • Cコード C1011

出版社内容情報

16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿絵を材料にして転移現象を論ずる。錬金術過程=二人の間の個性化過程を探求。メルクリウスの泉/王と女王/裸の真実/浴槽の水に漬かること/結合/死/魂の上昇/浄化/魂の帰還/新たな誕生…。
このように目次を見てくると、一見タイトルとはかけ離れているように思われるかもしれない。ユングは本書で、16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿し絵を材料にして転移現象を論ずるのである。
変容の場である「メルクリウスの泉」から始まり、新しい全体性の成就である「新たな誕生」に至る10枚の絵。これは対立物が結合する錬金術過程を示しており、転移が進行していく過程でもある。「錬金術師の経験は、ある意味では、私の経験であり、彼らの世界は私の世界であった」というユングは、転移の理解に、錬金術の考え方を縦横に援用するのである。
しかしこうしてみると、ユングは転移という名で、実は個性化過程を語っていることがわかる。ただし一人の人間が自分だけで進める個性化ではなく、二人の人間の間で進行する個性化過程なのである。ユングの心理療法を知るうえで、もっとも重要な書。

[初版1994年9月]

序文
総論

『哲学者の薔薇園』の一連の挿し絵を材料にして転移現象を論じる試み
第一章 メルクリウスの泉
第二章 王と女王
第三章 裸の真実
第四章 浴槽の水に漬かること
第五章 結合
第六章 死
第七章 魂の上昇
第八章 浄化
第九章 魂の帰還
第十章 新たな誕生
結語

原注
訳注
解説
訳者あとがき
索引

C・G・ユング[ユング ]
1875年7月26日、スイス北部のケスヴィルにて生まれる。バーゼル大学卒業後、ブルクヘルツリ病院のブロイラーのもとで言語連想実験の研究に従事。その後、フロイトの精神分析運動に参加し、フロイトの後継者と目されるほど、その中心人物として精力的に活動した。1913年にフロイトと決別。その後は独自の心理学の構築に専心し、「コンプレクス」「元型」「集合的無意識」「無意識の補償機能」「内向/外向」「個性化」などの独創的な理論を提唱していった。1961年6月6日、死去。20世紀最大の心理学者の一人。

林道義[ハヤシミチヨシ]
1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。元東京女子大学教授。著書『ユング』(清水書院、1980)『ユング心理学の応用』(みすず書房、1988)『ユングの心理学と日本神話』(名著刊行会、1995)『父性の復権』(中公新書、1996)『主婦の復権』(講談社、1998)『図説ユング』(河出書房新社、1998)『ユング思想の真髄』(朝日新聞社、1998)『フェミニズムの害毒』(草思社、1999)『母性の復権』(中公新書、1999)『母性崩壊』(PHP研究所、1999)『ユング心理学入門 I-III』(PHP研究所、2000)『家族破壊』(徳間書店、2000)ほか。訳書 ウェーバー『政治論集』1(共訳、1982)ユング『タイプ論』(1987)『ヨブへの答え』(1988)『心理療法論』(1989)『個性化とマンダラ』(1991)『連想実験』(1993)『転移の心理学』(共訳、1994、以上みすず書房)『元型論』増補・改訂版(1999)ノイマン『意識の起源史』(全2巻、1984-85、以上紀伊國屋書店)。

磯上恵子[イソガミケイコ]
1957年茨城県に生れる。1981年東京女子大学文理学部哲学科卒業。1983年都立大学人文学部独文学科卒業。翻訳 M-L・フォン・フランツ『永遠の少年』(共訳、紀伊國屋書店、1982)、ユング『転移の心理学』(共訳、みすず書房、1994)。

内容説明

ユングは本書で、16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』の挿し絵を材料にして転移現象を論ずるのである。変容の場である「メルクリウスの泉」から始まり、新しい全体性の成就である「新たな誕生」に至る10枚の絵。これは対立物が結合する錬金術過程を示しており、転移が進行していく過程でもある。ユングの心理療法を知るうえで、もっとも重要な書。

目次

第1章 メルクリウスの泉
第2章 王と女王
第3章 裸の真実
第4章 浴槽の水に漬かること
第5章 結合
第6章 死
第7章 魂の上昇
第8章 浄化
第9章 魂の帰還
第10章 新たな誕生

著者等紹介

ユング,C.G.[ユング,C.G.] [Jung,Carl Gustav]
1875‐1961。スイスのケスヴィルに牧師の子として生れる。バーゼル大学医学部卒業後、チューリッヒ大学の神経科でブロイラーの指導を受ける。フランスに留学しジャネの下で研究、帰国後、連想実験による研究を発表し有名になる。1907年フロイトと知り合い、精神分析学の発展に寄与するが、1913年に訣別、独自の分析心理学を創始する。精神病、夢、神話などの研究を通じて無意識の構造を明らかにする。後にイメージやシンボルの研究によって人間の宗教性の問題を深く追求する

林道義[ハヤシミチヨシ]
1937年長野県に生れる。1962年東京大学法学部卒業。1968年同大学大学院経済学研究科博士課程修了。経済学博士。元東京女子大学教授

磯上恵子[イソガミケイコ]
1957年茨城県に生れる。1981年東京女子大学文理学部哲学科卒業。1983年都立大学人文学部独文学科卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

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Gotoran

49
ユングが錬金術の考え方をもとに転移について縦横に論じていく。16世紀の錬金術の書『哲学者の薔薇園』にある10枚の挿絵を示しながら転移現象を論じる。変容の場「メリクリウスの泉」を皮切りに新しい全体性の成就の挿絵10遍目「新たな誕生」へと至る。これらは、対立物が結合する錬金術過程を示し、転移が進行していく過程でもあると云う。また転移という名の個性化過程でもあると云う。心理療法における転移と逆転移について学ぶことができる。難解さを伴うものの非常に興味深く読むことができた。2021/05/02

roughfractus02

5
患者が分析医に過去の人達との関係を重ねる転移と分析医が患者に同様の関係を重ねる逆転移は、互いの関係を固定することで生じる。著者は分析医の自己分析と患者との対話から、過去に抱いた感情が現在に投影される理由を検討し、治療過程に組み込む。その際著者は「対立物の統合」の過程を描いたとする錬金術の『哲学者の薔薇園』の10枚の絵をその象徴として示す。過去の感情を現在へ投影する性向は、両者を固定する主体への執着に起因する。錬金術は主体はなく主観の変化があると教える。(河合隼雄は禅の『十牛図』との類似性を指摘している)。2021/06/19

rootstock1998

1
最後まで目を通した、という意味で読了。これは 見た ということであった理解を伴う、読んだというのとは別な気がする。その中でも、ここは特に面白いという箇所。 『より少ないものがより多くのものを意味することも稀ではないという真理』この言葉に導かれ紐解こうとしているのだと思う。 2018/01/08

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