夢遊病者たち―第一次世界大戦はいかにして始まったか〈1〉

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  • サイズ B6判/ページ数 369,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622085430
  • NDC分類 209.71
  • Cコード C1022

出版社内容情報

第一次世界大戦はいかにして始まったのか。戦争勃発の全貌を活写し、異例の反響を呼んだ、第一次世界大戦研究の決定版。史上初の総力戦、第一次世界大戦はどのように始まったのか。バルカン半島の紛争が未曾有の世界大戦へと展開する過程を克明に描いた本書は、歴史学の新たな扉を開いた。

「20世紀の最初の災厄であり、あらゆる災厄はここから湧き出した」と言われるように第一次世界大戦は20世紀を決定づけ、現在の政治的危機の源流となった。だがその全貌を捉えるのは難しい。史料は膨大かつ各国の利害関係に彩られ、「史料の世界大戦」と呼ばれる状況を呈している。
「それでもなお、1914年夏の危機の原因を追究する21世紀の読者に強い印象を与えるに違いないのは、その剥き出しの現代性のためである」(本文より)。著者クラークは、イギリス、フランス、ドイツ、セルビア、ロシアなどの多数の文書館史料を渉猟し、緻密な考証を経て、19世紀末から戦争勃発の1914年7月まで、ヨーロッパが第一次世界大戦に突入する過程を見事に浮かび上がらせる。
原著はドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語、セルビア語、中国語などに翻訳され、カンディル賞優秀賞、ロサンゼルス・タイムズ書籍賞、ヘッセル=ティトマン賞、ローラ・シャノン賞に輝いている。現在の紛争の火種がすべてここにあることを示す、第一次世界大戦研究の決定版。全2巻。

謝辞


第一部 サライェヴォへの道
第一章 セルビアの亡霊たち
ベオグラードの殺人/「無責任な連中」/精神地図/離反/激化/3つのトルコ戦争/陰謀/ニコラ・パシッチ、応酬する

第二章 特性のない帝国
対立と均衡/チェスの指し手たち/嘘と贋物/偽りの静穏/タカ派とハト派

第二部 分断された大陸
第三章 ヨーロッパの分極化 1887-1907
危険な関係──露仏同盟/パリの判断/イギリスの中立の終了/遅れてきた帝国──ドイツ/大いなる転換点?/相手を悪魔に仕立てる

第四章 喧々囂々のヨーロッパ外交
最高意思決定者たち/サンクトペテルブルクを治むるは誰か/パリを治むるは誰か/ベルリンを治むるは誰か/エドワード・グレイ卿の厄介な覇権/1911年のアガディール危機/武官と文官/新聞と世論/権力の流動性

原註

クリストファー・クラーク[クリストファー クラーク ]
1960年オーストラリア生まれ。ケンブリッジ大学教授。専攻は西洋近現代史、ドイツ近現代史。著書にIron Kingdom: The Rise and Downfall of Prussia, 1600-1947など。こんにちの近現代史研究をリードする研究者の一人である。

小原淳[オバラジュン]
1975年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。和歌山大学教育学部准教授。専攻はドイツ近現代史。著書に『フォルクと帝国創設』(彩流社、2011、日本ドイツ学会学術奨励賞受賞)。訳書にJ・スタインバーグ『ビスマルク』(白水社、2013)、J・スパーパー『マルクス』(白水社、2015)、C・クラーク『夢遊病者たち』(全2巻、みすず書房、2017)。

内容説明

「それは20世紀最初の災厄であり、あらゆる災厄はここから湧き出した」(フリッツ・スターン)。19世紀末から開戦までを見事に描き、異例の反響を呼んだ、第一次世界大戦研究の決定版。

目次

第1部 サライェヴォへの道(セルビアの亡霊たち;特性のない帝国)
第2部 分断された大陸(ヨーロッパの分極化 一八八七~一九〇七;喧々囂々のヨーロッパ外交)

著者等紹介

クラーク,クリストファー[クラーク,クリストファー] [Clark,Christopher]
1960年オーストラリア生まれ。現在、ケンブリッジ大学教授。専攻は西洋近現代史、ドイツ近現代史。『夢遊病者たち―第一次世界大戦はいかにして始まったか(1)』は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、スペイン語版などが出版され、各国の歴史学界や読書界で大きな議論を呼び起こした。カンディル賞優秀賞、ロサンゼルス・タイムズ書籍賞、ヘッセル・ティットマン賞、ローラ・シャノン賞を受賞するなど、国際的に大きな注目と評価を得ている

小原淳[オバラジュン]
1975年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程修了。現在、和歌山大学教育学部准教授。専攻はドイツ近現代史。著書に『フォルクと帝国創設』(彩流社。2011。日本ドイツ学会学術奨励賞受賞)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

skunk_c

66
第1次世界大戦の勃発原因を、ある程度の長期的スパンを見据えながら読み解こうとした労作。特に1903年の国王夫妻暗殺から始まる19世紀後半のセルビア情勢は、今まで全く知らなかったことだったので衝撃的だった。訳注で事実関係へのコメントが入るように荒さはあるが、19世紀後半~1914年までのヨーロッパ列強の政治動向に関し、これだけきちんと記述したものは読んだ記憶がない。しかも2017年の書で、現代的な課題に引きつけている。特に新聞・世論に関しての章は、まるで今の話かと思う面も。読みにくさはあるが下巻も楽しみだ。2025/08/14

かんやん

40
オーストリアの皇位継承者がサラエボで暗殺され、第一次世界大戦勃発ってどういうこと?と中学生の時に思った。オスマンの退潮とセルビアでの国土回復運動の勃興(テロと虐殺には構造があるな、と)。オーストリア=ハンガリーの二重国家の危うさ。日露戦争で敗北したロシアのバルカン戦略。新興国ドイツの植民地争奪戦への参戦への英仏の思惑。三国同盟(独伊墺)の危うさ。君主に振り回される官僚と勝手に事を進める大使、国内のタカ派とハト派、情報の占有、そこにジャーナリズム(たやすく買収される)と世論が加わって、複雑極まりない。2022/01/08

Shin

33
「第1次世界大戦は、オーストリア皇太子が暗殺されたことから始まった」と歴史の授業で習うことについて、それ以上深い理由を考えたことがなかった。思えば、なぜそれだけのことで、何千万人もの人が犠牲になるような戦争が起こったのか、極めて不可解なことだ。その戦争に至るまで、ヨーロッパ諸国は内政と外交、民族主義とリアルポリティーク、そして公人と私人の利害や主義主張が錯綜して帯電し、わずかな刺激によって全てを巻き込んで爆発する状態にあったことを克明に描く。その複雑さを文章にしようと発想したこと自体が賞賛に値する。2017/03/03

てれまこし

18
「革命とは起こすものではなく起きるもの」。スコッチポルという人はかつてこう言ったが、大戦にもこれが言えそう。そうなると戦争責任の所在が不明確になるから、結果から遡って原因を決めたくなる。歴史は勝者が書くから負けた方に罪をすべて押しつけちゃう。それでドイツ(皇帝)の攻撃性ばかりが注目されることになった。よくても大国間の権力闘争。だが現実はより複雑。小国のナショナリズム、汎スラヴ主義、意志決定の権力の所在の曖昧さや二重外交(民主化の過渡期と関係してる)など、国内・国際政治の垣根を越える要因が重層的に絡んでる。2022/05/14

ケニオミ

18
歴史の教科書では、「ヨーロッパの火薬庫であるバルカン半島でのオーストリア皇太子夫妻を襲った銃撃で、ヨーロッパ大戦の口火が切られた」などと記されていたと思いますが、本書を読んで、その意味をほとんど分かっていなかったと思いました。セルビアとオーストリアとの角逐。ヨーロッパ各国の緩い同盟関係。同盟国に対しても疑心暗鬼な各国。王室が外交に及ぼすネガティブな影響力。帝国主義というゲームに遅れたドイツの参加を徹底的に拒む各国。等々など、ドロドロしすぎて、ヨーロッパ全体が火薬庫という印象でした。下巻でいよいよ引火です。2017/03/09

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