治安維持法の教訓―権利運動の制限と憲法改正

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治安維持法の教訓―権利運動の制限と憲法改正

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  • サイズ A5判/ページ数 589p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784622085317
  • NDC分類 326.81
  • Cコード C3022

出版社内容情報

治安維持法を制定・改正した帝国議会。運用した裁判所。刑法学者が記録を読み解き、今も反復可能な国民統制のメカニズムを解明する。治安維持法は大正14(1925)年に制定され、昭和3年と16年の改正をへて猛威をふるった。本書は歴史研究による刑法学の第一人者が、帝国議会の審議から制定の過程を、大審院の判例から運用の過程を読み解くことで、時勢と共に変容した国民統制のメカニズムを解明する。
大正デモクラシーの風を受け、国会議員には弁護士など法曹出身者や、大衆に支持された無産政党の指導者も多く、治安維持法の審議では迫真の討論が行われた。「国民が萎縮する」「濫用の危険性はないか」「世界の潮流から後れる」「学問の自由を制限しないか」。多くの懸念が表明され、やがて現実となった。
《京都学連事件》《川崎武装メーデー事件》《司法官赤化事件》《唯物論研究会事件》。法廷ではどんな法理論を用いて「目的のためにする行為」「支援結社」などを拡大解釈して無数の有罪判決を導いたのか。被告・弁護士・裁判官・大審院長・思想検事の言葉からは、「専制と暴力」のシステムを支えた思考が見えてくる。
治安維持法は「国体の変革」や「私有財産制度の否認」を目的とする非合法組織の取締りを掲げ、そのため昭和10年頃に共産党などは壊滅状態になった。しかし真の狙いは国民の統制、とりわけ失政の見直しを政府に求め、自らの手によって実現しようとする、労働争議や反戦運動をはじめとするあらゆる「権利運動」の抑圧だった。
今ふたたび治安維持法の亡霊がさまよう。憲法改正や共謀罪に通底する「公益及び公の秩序」のための人権制限はどんな社会を招くのか。――歴史に聴く時。

年表 治安維持法の制定と改正
凡例

はじめに

第一部 治安維持令と治安維持法
第一章 治安維持令の公布
1 緊急勅令の形式を採用
2 貴族院の審議
3 衆議院の審議

第二章 治安維持法の成立
1 衆議院に緊急上程
2 特別委員会の審議
3 衆議院本会議の審議
4 貴族院の審議
5 一部修正して成立

第三章 治安維持法の適用
1 治安維持法の発動
2 政府の意向に沿った解釈・運用
《北海道集産党事件》 《北海道共産党事件》(一)(二)
《名古屋共産党事件》《京都学連事件》
担当弁護士のプロフィール(1)

第二部 昭和三年改正法
第四章 昭和三年改正法の成立
1 治安維持法中改正法律案
2 治安維持法改正緊急勅令
3 衆議院特別委員会の審議
4 衆議院本会の質疑・討論
5 貴族院の審議
6 改悪の内容

第五章 昭和三年改正法の適用
1 懸念された事態の出現──著しい拡大適用
2 より顕著となった裁判所の論理
《岡山無産者運動事件》
《四・一六事件》(浜松事件)(東京出版労働組合事件)(千葉事件)(茨城事件)(神戸事件)(函館事件)《武装共産党事件》《無産者新聞等編集発行事件》
《川崎武装メーデー事件》《日本共産青年同盟事件》 《檄文等配布事件》
《無産者新聞配布事件》 《東京朝日新聞社従業員親睦団》《第四次共産党事件》
(神戸事件)《労農同盟事件》《朝鮮共産党日本総局事件》《裁判官忌避申立事件》
担当弁護士のプロフィール(2)

第三部 昭和九年および十年の改正法案
第六章 昭和九年および十年の改正法案の不成立
1 昭和九年の治安維持法改正法律案
2 委員会の質疑
3 貴族院の審議
4 治安維持法改正法律案の再提出
5 委員会での審議

第七章 法改正挫折後の進んだ著しい拡大適用
1 裁判所による事実上の立法
2 この期の大審院判決で注目されること
《全協事件》 《「無産青年」新聞事件》 《ナップ作家事件》
《司法官赤化事件》 《第四次共産党事件》(石川正一被告事件) 《工場新聞事件》
《全協機関誌事件》 《日本共産青年同盟女性幹部事件》 《「転向」事件》
《共産党銀行強盗事件》 《産業労働調査所事件》 《共産党スパイ査問事件》
《人民戦線事件》(一)(二) 《天理本道教団事件》
担当弁護士のプロフィール(3)

第四部 新治安維持法
第八章 新治安維持法の制定
1 太平洋戦争に備えた改正
2 新治安維持法律案の作成
3 衆議院に付託
4 改正のポイントについての質疑
5 衆議院本会議を通過
6 貴族院の審議
7 改悪の内容

第九章 新治安維持法の施行とその法適用
1 思想・宗教──転向か、予防拘禁か
2 戦争反対の静かな思いも取締りの対象
《人民戦線事件》(伊藤律被告事件)《朝鮮独立運動事件》《朝鮮独立運動「竹馬契」事件》
《唯物論研究会事件》《起訴状戦災滅失事件》
担当弁護士のプロフィール(4)

第五部 治安維持法の亡霊
第十章 治安維持法の教訓を活かすために
1 治安維持法の制定と改正を推進したもの
2 治安維持法刑事裁判からの教訓
3 検証に基づく再発防止

第十一章 権利運動の危機と憲法改正
1 権利運動の弾圧あるいは保障
2 日本型福祉論と法的パターナリズム
3 「公益及び公の秩序」と自民党憲法改正草案
4 共謀罪
5 治安維持法に無関係の人はいなかた

おわりに

註 治安維持法施行後の歴代大審院長のプロフィール
年表 戦前の日本共産党──結成・再建・崩壊

内田博文[ウチダヒロフミ]
1946年大阪府堺市生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。現在、九州大学名誉教授、神戸学院大学法学部教授。専門は刑事法学(人権)、近代刑法史研究。福岡市精神医療審査会会長、ハンセン病市民学会共同代表。ハンセン病問題に関する検証会議副座長を務めた。患者の権利擁護を中心とする医療基本法や差別禁止法の法制化の問題にもとりくんでいる。主な単著に『刑法学における歴史研究の意義と方法』(九州大学出版会)、『ハンセン病検証会議の記録』(明石書店)、『日本刑法学の歩みと課題』(日本評論社)、『刑事判例の史的展開』、『自白調書の信用性』、『更生保護の展開と課題』(どちらも法律文化社)、『刑法と戦争――戦時治安法制のつくり方』『治安維持法の教訓――権利運動の制限と憲法改正』(みすず書房)など。

内容説明

大正14年公布、改正の度に進化した治安維持法。帝国議会の審議と大審院判例から制定と運用の過程を読み解き、あらゆる「権利運動」を抑圧した法理論とその帰結を解明する。歴史研究による刑法学。

目次

第1部 治安維持令と治安維持法(治安維持令の公布;治安維持法の成立;治安維持法の適用)
第2部 昭和三年改正法(昭和三年改正法の成立;昭和三年改正法の適用)
第3部 昭和九年および十年の改正法案(昭和九年および十年の改正法案の不成立;法改正挫折後に進んだ拡大適用)
第4部 新治安維持法(新治安維持法の制定;新治安維持法の施行とその法適用)
第5部 治安維持法の亡霊(治安維持法の教訓を活かすために;権利運動の危機と憲法改正)

著者等紹介

内田博文[ウチダヒロフミ]
1946年大阪府生まれ。京都大学大学院法学研究科修士課程修了。現在、九州大学名誉教授、神戸学院大学法学部教授。専門は刑事法学(人権)、近代刑法史研究。福岡市精神医療審査会会長、ハンセン病市民学会共同代表。ハンセン病問題に関する検証会議副座長を務めた。患者の権利擁護を中心とする医療基本法や、差別禁止法の法制化の問題にも取り組んでいる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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BLACK無糖好き

17
何とも重厚な労作。治安維持法制定・改定の過程を帝国議会での審議を中心に、運用過程を大審院判例を中心にそれぞれ検討し、法が拡大解釈されて一般国民の統制、権力運動の抑圧に繋がって行く様子を豊富な事例で検証している。◆読後に、奇しくも本書の最後で著者が警笛を鳴らしている共謀罪創設に向けて、政府がテロ対策と絡め次期国会で法案提出予定とのニュースを目にした。本件は重要なテーマであり、過去の教訓はしっかり活かしながらも、不確実性の増した現代に合わせた危機管理の在り方について、是非共冷静な議論が展開されるよう願いたい。2017/01/07

tellme0112

12
Twitterの国会中継読んでいるかのような錯覚…。10章治安維持法の教訓はメモを取りながら読みました。ハンセン病の運動がなぜ治安維持法と関係があるのか最初はポカンとする感じでした。が、治安維持法とは無関係どころか、今だからこそ学ばなければならない。ハンセン病関連の歴史がどれほど歴史的意味を持っていたのか、ようやく想像する事ができる。基本的人権、人間の尊厳の防波堤として、学校教育でやらないのなら、家庭教育として、やらねばと思ったのでした。2017/07/15

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