出版社内容情報
『われわれ自身の中のヒトラー』のピカートによる古典的名著。人間が自立的・主体的な存在であるための「沈黙」の意味を探る。
『われわれ自身の中のヒトラー』に並ぶ、著述家M・ピカート(1888‐1965)の主著。言葉、歴史、芸術など様々な事物と「沈黙」との関わり、人間が自立的で主体的な存在としてあるための「沈黙」の意味を探る。「騒音語が万事をならし、均等化してしまう」世界はいかにして生まれてくるのか、緊密な筆致で綴る。新版刊行にあたり、エマニュエル・レヴィナス「マックス・ピカートと顔」を付す。
まえがき
沈黙の相(すがた)
始原の現象としての沈黙
沈黙からの言葉の発生
沈黙と、言葉と、真理
言葉における沈黙
沈黙と言葉との中間にある人間
沈黙におけるデモーニッシュなるものと言葉
言葉と身振り
古代の言葉
「自己」と沈黙
認識と沈黙
事物と沈黙
歴史と沈黙
形象と沈黙
愛と沈黙
人間の顔と沈黙
動物と沈黙
時間と沈黙
幼児と、老人と、そして沈黙
農夫と沈黙
沈黙における人間と事物
自然と沈黙
詩と沈黙
詩と沈黙――例――
美術と沈黙
騒音の言葉
ラジオ
沈黙の残部
病と死と沈黙
沈黙なき世界
希 望
沈黙と信仰
訳者あとがき
内容説明
沈黙は言葉の放棄と同一のものではない。沈黙は決して、言葉が消失したあとに取り残されたような、見すぼらしいものではない。沈黙は或る種の全きもの、自己自身によって存立する或るものなのである。沈黙は言葉とおなじく産出力を有し、言葉とおなじく人間を形成する。ただ、その程度が違うだけである。沈黙は人間の根本構造をなすものの一つなのだ。(…)読者はこの本によって、言葉を軽視するような誤った結果にたち到ってはならない。人間が人間として存在し得るのは、言葉によるのであって、沈黙によるのではないのである。
目次
沈黙の相
始原の現象としての沈黙
沈黙からの言葉の発生
沈黙と、言葉と、真理
言葉における沈黙
沈黙と言葉との中間にある人間
沈黙におけるデモーニッシュなるものと言葉
言葉と身振り
古代の言葉
「自己」と沈黙〔ほか〕
著者等紹介
ピカート,マックス[ピカート,マックス] [Picard,Max]
1888‐1965。ドイツのシュヴァルツヴァルトに生まれる。ハイデルベルク大学助手を勤めた後、ミュンヘンで開業する。スイスのルガノ湖畔に居を移し文筆活動を続けた
佐野利勝[サノトシカツ]
1918年大阪府に生まれる。1941年京都帝国大学経済学部卒業。1946年京都大学文学部卒業。京都大学・滋賀医科大学名誉教授。2006年死去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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