内容説明
メディア論の元祖にして不可解な思想家マーシャル・マクルーハン。ジョン・ケージが絶讃した本邦初訳の「外心の呵責」の精読、「メディアはメッセージである」の新解釈、聴覚空間論。グールド、シェーファー、フラー、前衛芸術との出会い。ジョン・レノンとの接触と「地球村」の再考。吉田秀和賞のグールド研究者による斬新な入門。
目次
テキスト マクルーハン「外心の呵責」(宮澤淳一訳)
第1講 マクルーハン精読(テキストの読み解き方;テクノロジーと拡張;中枢神経系の拡張 ほか)
第2講 メッセージとメディア(マクルーハンの半生;博士論文の位置;『機械の花嫁』(一九五一年) ほか)
第3講 ジョン・レノンと地球村(「ベッド・イン」キャンペーン;ジョン・レノン対マクルーハン;地球村とは ほか)
著者等紹介
宮澤淳一[ミヤザワジュンイチ]
1963年生まれ。青山学院大学総合文化政策学部准教授(08年4月より)。博士(学術)。専門は音楽学・メディア論・文学文化研究。文学・芸術=メディア=テクノロジーの諸問題、カナダ研究、文献表記法に関心あり。音楽批評も手がける。著書に『グレン・グールド論』(吉田秀和賞、春秋社)ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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昭和っ子
19
まず、「外心の呵責」という小論を精読してある。全部理解した、とはとても言えないが、精読ってこんな風にする事なんだー!と感心した。グーテンベルクが活版印刷を広めて以来、塊で捉えられていた言葉が、それ自体は意味のないアルファベットを分割して組み替えた物として捉えられた事から、人間の内面までも変化して物事は細分化し職務は専門化されて「個人」を生みだし、世の中は驚異的に発達した。しかし近年の電子メディアの発達により、物事は同時多発的に伝えられる様になり「部族的な結束力と前個人主義的な思考パターンに私達を連れ戻す」2014/10/05
白義
18
現代情報社会の予言者とも言われることがあるが、直観的で検証困難な部分が多く、容易には読み解けないこのメディア論の開祖の思想を丁寧に分かりやすく語った優れた入門書。ジョン・ケージが絶賛した少文を冒頭に収録しパラグラフごとに読み解いた第一講は現代文解読のお手本のような鮮やかさ。その後もジョン・レノンとの対談を軸に同時代の前衛芸術や音楽理論との共鳴、地球村というキャッチーなワードの誤解されている部分など印象深い点を重点的に語っている。謎めいた眩惑的部分の多いテキストを明快にスラスラと読み解いていくのは圧巻である2016/01/21
よく読む
8
とても読みやすい良書。マクルーハンの本からトピックセンテンスを抜き出して解説する。彼の理論のわかりづらさや共感しづらい点も素直に指摘してくれるので、理解できなくても焦らなくて済む(たとえばテレビは触覚の拡張)。マクルーハン本の中ではとても優れているのではないか。メディアとは何か、また地球村とは何かまで本書でわかる。マクルーハンの書いた本は簡単でないものが多いので、本書はありがたい。大学受験生にもおすすめしたい。2017/03/23
みき
5
マクルーハンのメディア論には、凡庸性がある。これを店員とお客さんとか、人と人との話として見ていくこともできそうな気がする。メディアが人間の拡張を促すものなら、職業ってほとんどそういう関係性の上に成り立つものかも。昔読んだマクルーハンのメディア論で、なんとなーく考えてた部分が丁寧にわかりやすく説明されていてよかった。2018/01/06
里馬
5
【図書館】やっぱ自分の頭で考えたい。2009/09/01