内容説明
六十二歳の尾形信吾は、妻保子、息子の修一夫婦とともに日常生活を送っている。だが信吾の内面は、美しく感受性豊かな嫁菊子に覚える幽かな情愛に戸惑い、揺れていた。繊細で冷酷なまなざしのもとに描かれる戦後の老い、性、夫婦、家族。川端康成の傑作を、カワバタ文学にとりつかれたイタリア語翻訳家が濃やかに読み解いてゆく。
目次
テクスト―「山の音」(川端康成『山の音』より)
第1回 家族という名の他人(信吾の不思議な夜;思いの音楽;ある結婚の風景;孤独の鏡;見えない戦争)
第2回 果たせぬ夢の領域(老いの顔を覗き込んで;あるひまわりの短い人生;信吾と菊子の秘密の花園;ヰタ・セクスアリス)
第3回 『山の音』の彼方へ(眠りの言語と結婚の沼;誰でも知っている社会から、誰も知らない社会へ;ゆがんだ春のめざめ;見知らぬ乗客;小説の種、あるいは『山の音』におけるメタフィクション;美しい耳、血まみれの耳;人生の部分品;水の音)
著者等紹介
アミトラーノ,ジョルジョ[アミトラーノ,ジョルジョ][Amitrano,Giorgio]
1957年、イタリア、アンコーナ県イエージ市生まれ。ナポリ東洋大学卒業、東洋学博士、翻訳家。映画研究家。現在、ナポリ東洋大学教授として、日本近代・現代文学の教鞭をとるかたわら、「ラ・レプッブリカ」などのイタリア主要新聞、雑誌に文芸評論および映画評論も執筆している。エルサ・モランテ翻訳賞(1996年)、第一回アルカンターラ翻訳賞(1998年)、第十二回野間文芸翻訳賞(2001年)などの受賞歴がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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