出版社内容情報
繁栄の個人主義、停滞のコーポラティズム。ノーベル経済学賞受賞者が、近代的繁栄の源泉を価値観/文化の転換に探究する独創的提言。繁栄の個人主義、停滞のコーポラティズム。
ノーベル経済学賞受賞者が、近代的繁栄の源泉を文化の転換に探究。
長期停滞を超えるための、経済、文化、倫理を横断する独創的提言。
「一九世紀に一部の国で市場経済が発達すると、人類史上初めて天井知らずの賃金上昇と雇用拡大が実現し、仕事から満足を得る人たちのすそ野が広がった。この現象を引き起こしたのは何だったのだろう。ところが、二〇世紀が進むうちに多くの国で、いや、今となってはすべての国で、そのすべてが失われてしまったとしか思えない。その背景には何があったのか。この稀に見る繁栄の盛衰を理解することが本書の目的である」(はじめに)
近代の繁栄の源泉は、挑戦、自己表現、人間的成長といった個人主義に裏付けられた価値観の誕生と、そこから湧き出る大衆のイノベーション・プロセスへの参画にあるとする、新たな《近代経済》論。
われわれが面している非常に大きな課題に比べて今日の経済議論は狭量だ、と感じているなら、ぜひ本書に向きあってみるべきだ。
――ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)
「善き生」という概念を経済学と哲学の文脈で論じられる研究者はほとんどいない。フェルプスは本書で《近代経済》を分析して、それを見事に成し遂げている。
――ポール・ヴォルカー(元連邦準備制度理事会議長)
本書は歴史を扱ってはいるが、むしろ焦点は今後の社会が何をなすべきかにある。行動を求める書なのだ。
――ロバート・シラー(イェール大学教授)
『フィナンシャル・タイムズ』紙 ベスト経済書(2013年)
はじめに
序章:近代経済の出現
重商主義の時代における経済知識/経済知識が爆発的に増加した徴候/経済知識の源を発見する
第 I 部:近代経済という経験
第1章:近代経済はいかにしてダイナミズムを獲得したか
過去の近代経済の内部構造/社会制度
第2章:近代経済のおよぼす物質的影響
豊かな物質的利益/バラ色の生活ではない
第3章:近代的生の経験
もうひとつの世界──仕事とキャリアの変化/近代経済の経験は芸術や文学にいかに反映されたか/まとめ
第4章:近代経済はいかに形成されたのか
経済制度──自由、財産、金融/政治制度──代表民主制/経済文化──違いと変化/足りないピース──人口と都市/第 I 部のまとめ
第 II 部:近代経済への反動――社会主義とコーポラティズム
第5章:社会主義の魅力
近代への不満/社会主義というアイデア/社会主義は実行可能か?/社会主義の奇妙な一面/社会主義への不安
第6章:第三の道──コーポラティズムによる左からの攻撃
コーポラティズムによる近代経済の告発/二〇世紀はじめのコーポラティズム/戦後のコーポラティズムの進化/新しいコーポラティズム/コーポラティズムの影の側面
第7章:ライバルたちの主張を秤にかける
社会主義──主張と証拠/コーポラティズム──主張と証拠/イノベーションの不足
第8章:国家ごとの満足度
職務満足度の格差/格差の制度的原因/格差の文化的原因
第 III 部:衰退と復活――一部のダイナミズムはどのように失われ、それを取り戻すためになぜ努力すべきなのか
第9章:一九六〇年代以後の衰退を示す徴候
業績の縮小に関する早期のデータ/降下──包摂、格差、職務満足度
第10章:一九六〇年代後の衰退について理解する
衰退の原因/大企業、ミューチュアル・ファンド、銀行の構造的欠点/「マネー文化」、うぬぼれた行動や思考/国と経済の結びつきの範囲の拡大/第二の変容
第11章:善き生──アリストテレスと近代
善き生についての人間主義者の概念/善き生についてのアリストテレスの概念/プラグマティスト(現実主義者)と善き生/ヴァイタリストの考える善き生/善き経済の持つ意味
第12章:善と正義
近代経済における正義/多様な人間性のなかでの正義/不公平ではない自由なシステム
エピローグ:近代の回復
謝辞/年表:モダニズムとモダニティ/参考文献/索引
エドマンド・フェルプス[エドマンド フェルプス ]
1933年生まれ。コロンビア大学「資本主義と社会研究センター」所長。2006年ノーベル経済学賞を受賞。1955年にアマースト大学で学士号を、1959年にイェール大学で博士号を取得。2010年から新華都商学院(福州、上海、北京、チューリッヒ)学長。著書『マクロ経済思想』(1991、新世社)『なぜ近代は繁栄したのか』(2016、みすず書房)ほか。
小坂恵理[コサカエリ]
翻訳家。訳書 セガール『貨幣の「新」世界史』(2016、早川書房)バーバー『食の未来のためのフィールドノート』(2015、NTT出版)ステイル『ブレトンウッズの闘い』(2014、日本経済新聞社)フェルプス『なぜ近代は繁栄したのか』(2016、みすず書房)ほか。
内容説明
近代の繁栄の源泉は、挑戦、自己表現、人間的成長といった個人主義に裏付けられた価値観の誕生と、そこから湧き出る大衆のイノベーション・プロセスへの参画にあるとする、新たな“近代経済”論。
目次
近代経済の出現
第1部 近代経済という経験(近代経済はいかにしてダイナミズムを獲得したか;近代経済のおよぼす物質的影響;近代的生の経験;近代経済はいかに形成されたのか)
第2部 近代経済への反動―社会主義とコーポラティズム(社会主義の魅力;第三の道―コーポラティズムによる左からの攻撃;ライバルたちの主張を秤にかける;国家ごとの満足度)
第3部 衰退と復活―一部のダイナミズムはどのように失われ、それを取り戻すためになぜ努力すべきなのか(一九六〇年代以後の衰退を示す徴候;一九六〇年代後の衰退について理解する;善き生―アリストテレスと近代;善と正義;近代の回復)
著者等紹介
フェルプス,エドマンド・S.[フェルプス,エドマンドS.] [Phelps,Edmund S.]
1933年生まれ。コロンビア大学「資本主義と社会研究センター」所長。2006年ノーベル経済学賞を受賞。1955年にアマースト大学で学士号を、1959年にイェール大学で博士号を取得。2010年から新華都商学院(福州、上海、北京、チューリッヒ)学長
小坂恵理[コサカエリ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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