出版社内容情報
明治から現在まで、歌謡曲、ポップス、唱歌などから、鉄道を歌った歌をピックアップし、描かれた情景から日本の近現代史を読み解く。
■鉄道は人びとの暮らしを変え、社会を変えた。また、人びとの暮らしの変化、社会の変化は、鉄道を変えた。では、何がどう変わったのか。
■鉄道は近代国家日本の建設と、人びとの生活の近代化を推し進める強力な要因だったと、しばしば指摘される。そうだとすれば、鉄道の姿を通して、この国の人びとが体験した近代化の諸相を探ることが可能なはずだ。ただし、近代化を天下国家の視点ではなく、平凡な生活者の視点から捉える。
■多くの人びとにとって、鉄道が体現していた近代とはどのようなものだったのか。鉄道は庶民の意識や暮らしをどう近代化したのか。人びとの暮らしの近代化は、逆に鉄道をどう変えたのか。それらを時間の流れに沿って考察する。
■その際、鉄道を歌った庶民的な流行歌や愛唱歌などが格好の手がかりとなる。鉄道の歌を通して、人びとが体験した近代化のさまざまな側面を考える。さらに、私たちの社会が今、どのような未来に向かおうしているのか、も考える。
■著者・松村洋氏における鉄道への関心と音楽研究の専門家であることが見事に結びつき、本書は完成した。類のない切り口の大衆文化史。
?X 戦後復興と鉄道 ?Y 故郷と鉄道 ?Z 別れと鉄道 ?[ 鉄道という記号
?\ さよならバビロン あとがき 参考文献
内容説明
鉄道ソングから“戦後”が聞こえてくる。再出発、高度経済成長、マイホーム、自分探し、現実感の変容、原発事故…。そして私たちはどこへ向かおうとしているのか。歌に聞く戦後史。
目次
5 戦後復興と鉄道(夜のプラットホーム(詞・奥野椰子夫/曲・服部良一/歌・二葉あき子)―一九四七年
僕は特急の機関士で(東海道の巻)(詞/曲・三木鶏郎/歌・三木鶏郎ほか)―一九五〇年 ほか)
6 故郷と鉄道(リンゴ村から(詞・矢野亮/曲・林伊佐緒/歌・三橋美智也)―一九五六年
ああ上野駅(詞・関口義明/曲・荒井英一/歌・井沢八郎)―一九六四年 ほか)
7 別れと鉄道(花嫁(詞・北山修/曲・坂庭省吾、端田宣彦/歌・はしだのりひことクライマックス)―一九七一年
どうにかなるさ(詞・山上路夫/曲&歌・かまやつひろし)―一九七〇年 ほか)
8 鉄道という記号(公園のD51(詞/曲/歌・友部正人)―一九七三年
シンデレラ・エクスプレス(詞/曲/歌・松任谷由実)―一九八五年 ほか)
9 さよならバビロン(さよならバビロン(詞/曲/歌・リクルマイ)―二〇一二年)
著者等紹介
松村洋[マツムラヒロシ]
1952年大阪生まれ。音楽評論家。考察対象はポピュラー音楽全般、とくに沖縄の音楽文化、タイを中心とした東南アジアのポピュラー音楽文化、日本流行歌史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。