相互扶助の経済―無尽講・報徳の民衆思想史

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  • サイズ B6判/ページ数 336,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622078890
  • NDC分類 338.76
  • Cコード C1010

出版社内容情報

徳川時代、慢性的な飢饉のなかで民衆は緊急時のために、互助組織「講」を発展させた。海保青陵、二宮尊徳など、優秀な指導者がいた。

徳川時代、慢性的な飢饉のなかで民衆は、緊急時のための相互扶助の組織、「講」を発展させた。海保青陵、二宮尊徳をはじめ、優秀な商人指導者たちがいた。厳しい身分制度の下で、かれらは倫理意識が強く、経済活動にも誇りをもっていた。各地でさまざまな「講」が発展し、その名残は今も見られる―「相互銀行」「共済保険」。著者はその詳細をたんねんに掘り起こし、近代が率先して忘れ去った民衆の知恵を、驚きとともに発見する。

日本の読者へ/まえがき/第一章 徳の諸相/第二章 常識としての知識/第三章 組織原理としての講/第四章 倫理の実践としての労働/第五章 報徳と国家の近代化/第六章 無尽会社/終 章 断片的な論考/解説/原注/参考文献/索引

内容説明

飢饉に苦しんだ徳川時代の民衆の実践。その伝統は公の歴史の陰で地道に生き続け、震災のボランティア活動につながる。卓越した歴史家の観察眼と想像力の結晶。

目次

第1章 徳の諸相
第2章 常識としての知識
第3章 組織原理としての講
第4章 倫理の実践としての労働
第5章 報徳と国家の近代化
第6章 無尽会社
終章 断片的な言説

著者等紹介

テツオ・ナジタ[テツオナジタ]
ハワイ生まれ。1965年、ハーヴァード大学で博士号取得。カールトン・カレッジ、ウィスコンシン州立大学を経て、1969年以降シカゴ大学で教鞭をとる。現在、シカゴ大学名誉教授、ロバート・S・インガソル記念殊勲教授(歴史学・東アジア言語文明研究)。専攻は近代日本政治史・政治思想史。1989年に大阪府より山片蟠桃賞を受賞

五十嵐暁郎[イガラシアキオ]
1976年、東京教育大学大学院文学研究科博士課程修了。1987‐2012年、立教大学法学部教授。現在、立教大学名誉教授。専攻は現代日本政治論

福井昌子[フクイショウコ]
立教大学卒業。企業勤務、英国留学を経て、現在、翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

35
ヨコ社会ニッポン!武士道の国→商人道の国、ワクワクしてくる歴史の読み替え。◇前著「懐徳堂」を読んだあと、出張のついでにその碑を探した。確かに日生本社の壁にあった。それが必然だったとは!◇そして、二宮尊徳の報徳運動も同じ文脈、今につながっていくとは。相互扶助を目的とする無尽だって、グラミン銀行そのもの・・あたりまえか、ともにアジアの「講」の伝統を受け継ぐものなのだから。◇ここでの柳田国男は報徳運動を国家に回収しようとした敵役。でもこの後彼は官僚を辞め、ヨコ社会の人として民俗学を立ち上げる。つながるつながる。2016/10/01

壱萬参仟縁

23
2009年初出。相互扶助に合致する、たがいを思いやる情にあふれる倫理観を伝える英語はない(ⅳ頁)。本書で正確さと一貫性というテーマが民衆経済思想史の核心であると立証しようとした(ⅵ頁)。民衆経済(Ordinary Economies)は民衆が経済的な選択をし、綿密に計画遂行するとう分野だが実に広範(ⅸ頁~)。母の借りを返すという福沢のきまじめさは、助け合いの取り決めを維持するという約束の倫理を裏づける(16頁)。2015/08/27

funuu

7
大坂の懐徳堂の三宅 石庵(1665−1730)の思想は、経済競争が鳥や獣のように対立する者を滅ぼすということであってはならない。競争は厳正さと公正さにもとづくべきであり、支配を目的としてはならない、ということであった。「道徳、経済一元論」という二宮 尊徳の教えでは、人は相互に必要としあっている。道徳なき経済は道徳的に受け入れない行為につながり、経済なき道徳は信じがたいものである。2015/07/05

takao

2
ふむ2021/12/23

Ven・The・Block

1
道徳と経済の両立を謳う日本古来の思想が江戸に流行り、近代化と共に失われた過程を辿る名著。近代の優れた日本の思想家達の思想は断片化した言説となり今も微かに根付いている。今の社会のあり方、思想家達の対立軸を理解、考察できる。興味と余力のある方は是非とも読んで頂きたい。2018/05/07

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