出版社内容情報
人類の祖先が二本足歩行を始めた600万年前からSTAP細胞問題まで、社会に開かれた科学者のライフワーク。全2巻。
本書は 2007年から2012年、総合研究大学院大学で足かけ6年にわたって行われた講義録をもとに再構成して成ったもので、文字通り著者のライフワークを記すものである。80頁余にわたる序章「原発事故をめぐって」にはじまり、地球温暖化と複雑系の科学、ノーベル賞の内実まで(上)は8章分と課外講義3講を収録する。
内容説明
二本足歩行からSTAP細胞まで、われわれの生きる社会と科学・技術はどう相互影響をしてきたか。多様な事例から問題の本質に迫る著者のライフワーク。現代の危機を知るための百科全書。
目次
原発事故をめぐって
第1部 科学・技術の現代(科学・技術・社会の強い結びつき;科学と技術の異質性と同質性;科学の社会的意味;科学・技術・社会に関わる諸事件)
第2部 科学の歴史と社会的変容(科学と技術の歴史;二〇世紀の科学と技術;科学の変容;科学の技術化の問題点)
著者等紹介
池内了[イケウチサトル]
1944年兵庫県生まれ。京都大学大学院理学研究科博士課程修了。総合研究大学院大学名誉教授。名古屋大学名誉教授。宇宙物理学専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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壱萬参仟縁
23
原発事故のところで、工期や予算の制約を考慮しつつ、人工物の強度限界を設定し、満たすよう妥協して設計・施工(15頁)。ゾウキン、チリトリ、バケツ・モップといった労働者の手作業。下請け構造の劣悪条件で働かせられている計画被曝の問題もある(24-25頁)。原発の反倫理性は、利益と被害を巡る人間の非対称で、一方からの押し付けをとる38頁)。否応なく抗えない構造的暴力(ガルトゥング)を想起する。科学の原理や法則や知見が文化として社会を豊かにする視点が重要(93頁)。2015/01/18
takao
3
大学での講義録2022/11/01
黒豆
3
科学から技術へ、そして社会への展開に関する通史、歴史的な経緯がわかりやすい。興味深かったのは、月に携帯電話を置いて地球に向けて発した電波の強さは宇宙に存在する点状の電波源としては三番目の強さ。懸念したのは、原発再稼働に向けたストレステストに当たって活断層が示唆されたが、電力会社の判断で採用せず判定基準を電力会社が設定していること。想定を超えた場合の検討を行っていないこと。一方ヨーロッパは更に二次で実際に原発がどう壊れるか事後シナリオまで調べていること。2015/01/08
林克也
1
多くの部分で納得し賛同します。 さて、実際の講義を聴講した院生、学部生、研究者たちが、どのくらい池内先生の考え方に影響されたのだろうか。でも、池内先生のこのような考えに沿って科学者、技術者たちが純粋に行動(仕事)をしても、多くの人は叩き潰されてしまうのではないだろうか。そこをどうするかに地球の未来、人類の未来がかかっているのに。 2015/08/19
人生ゴルディアス
1
クソ本。一芸に秀でたら、世の中のあらゆることについて一家言持ってしまう典型例。というか本文中で、科学者ならその能力でもっと科学の限界や危険性をあらかじめ予測できるから、専門外のことでも勇気を持って発言しよう、とかのたまってる。みすず書房はお偉いさんのこういう本をたびたび出すの本当にやめてください。2014/11/08