出版社内容情報
16歳でアウシュヴィッツに収容された女性の回想録。ナチスへの告発ではなく、その後の人生をいかに生きのびたかを美しい断章で綴る
「ここで起こったことを証言するために生きておくれ」。わたしは瀕死の女性からパン切れを受け取り、彼女の目の前で食べた――。16歳で家族とアウシュヴィッツに収容され、ただ一人生き残ったハンガリー系ユダヤ人女性の回想録。ナチスへの告発ではなく、恐怖を超えてその後の人生をいかに生きのびたかを美しい断章で綴り、フランスで評判を得た。著者は今年86歳。新たな世代のために勇気をもって語られた、貴重な証言。
編集者による序文/第一部 時のみちすじ:まなざし/出発/ある一日/しらみ/パン /足/人間とパン/ドイツ牧羊犬(シェパード)/渇き/エドヴィージュ/わたしの毛布/どうして?/点呼/親切な看守/アウシュヴィッツのコンチェルト/生きる /一九四四年のクリスマス/待つ/最後の歩行/あなたに/パンの香り/本物の家 /ほほえみ/死ぬこと/穴のあいたトランク/第二部 闇から喜びへ:わたしの人生の意味/最後のとき/ハンガリー/危機/直感/わたしの木/空の記憶/心の記憶/経験 /はいといいえ/再生/顔のないユダヤ人/思いがけない和解/証言し、伝えること /出会い/神の顔/源泉/もろさの恩寵/喜び/あなた/希望の熱烈な支持者/わたしの井戸/時のなかで……/わたしの不安/わたしの家族 /愛/著者の生きた時代について/訳者あとがき
内容説明
16歳のとき、マグダはアウシュヴィッツ=ビルケナウに強制収容された。母と妹は到着するなりガス室で殺され、別れのまなざしを交わすことさえできなかった。家族でただ一人、そしてハンガリーのユダヤ人の中でも数少ない生き残りとなった著者は、長い沈黙ののちに、言葉を紡ぎはじめる。そして中高生にみずからの経験を語り伝える活動を始め、さらに数十年の時を経て、本書が生まれた。「わたしは偶然のほほえみに照らされた道を選んだ」。ここにあるのはナチスへの告発ではなく、恐怖と死の記憶を超えて、いかに人生を取り戻したかを静かに綴る、生についての記録だ。新たな世代のために勇気をもって語られた、貴重な証言。
目次
時のみちすじ(まなざし;出発;ある一日;しらみ;パン ほか)
闇から喜びへ(わたしの人生の意味;最後のとき;ハンガリー;危機;直感 ほか)
著者等紹介
オランデール=ラフォン,マグダ[オランデールラフォン,マグダ] [Hollander‐Lafon,Magda]
1927年、ハンガリーに生まれる。児童心理学者。16歳のとき、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所に、母と妹とともに強制収容される。家族のなかでただ一人生き延び、戦後はベルギーを経てフランスに居住する
高橋啓[タカハシケイ]
1953年、北海道に生まれる。翻訳家。早稲田大学文学部卒(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ケイ
新地学@児童書病発動中
藤月はな(灯れ松明の火)
里季
天の川