出版社内容情報
詩人による新鮮な音楽論。生き方を歌うオルタナ・カントリーの歌詞を読み解き、歌手とアメリカ社会を語る。岩波新書版に9篇を増補。
内容説明
アメリカをアメリカたらしめてきたもの、アメリカーナについて、なによりも多く問い、雄弁に語り、深く感じさせ、遠くまで伝えてきた歌。そうした歌にのこされてきた感受性の運命というべきもののメモラビリア。
目次
1 カントリー・オブ・ザ・マインド(手紙でも書こう―ラルフ・エリソンの死;アラバマ・ソング―ブレヒトとヴァイルの歌;ザ・ダッチマン―ピーター・ラファージとマイケル・スミス ほか)
2 オルタナティヴ・カントリー(ミー・アンド・ボビー・マッギー―クリス・クリストファソン;アイ・ラヴ―トム・T.フォール;ママ・トライド―マール・ハガード ほか)
3 うたと詩の記憶(『フリーホイーリン』以後―コンセプト・アルバムの始まり;「ヒルビリー」のことなど―レコードショップの思い出;グッドモーニング、アメリカ―スティーヴ・グッドマン ほか)
著者等紹介
長田弘[オサダヒロシ]
詩人。1939年福島市に生まれる。1963年早稲田大学第一文学部卒業。1971‐72年北米アイオワ大学国際創作プログラム客員詩人。毎日出版文化賞(82)桑原武夫学芸賞(98)講談社出版文化賞(2000)詩歌文学館賞(09)三好達治賞(10)などを受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ペグ
39
目次にジム クロゥチ、キャロル キング、エミルー ハリス、ウィリー ネルソン、ボブ ディランなど好きなミュージシャンの名前を発見して興奮。フォスターの「スワニー河」「マイ オールド ケンタッキー ホーム」そして「アメージング グレイス」を礎として、今を生きる歌たちを深い洞察力と美しい日本語で著したエッセイ集。2016/09/19
踊る猫
21
読みながら、歌を理解するとはどういうことだろうかと柄にもなく考えてしまった。ともすれば手軽に消費できる歌に満ち溢れた今、だからこそ長田弘の語る歌に耳を傾けたくなりそこから何か自分なりの真実を見つけたくもなる。扇情的な筆致で歌に無理矢理誘導するのではなく、むしろ平たい文体でひとりひとりの歌を丁寧に解説し、そこからどんなものが見えうるのか説いていく。その姿勢に改めて1ファンとして惚れ直してしまい(物騒な言い方だが)、これまで知っているようで知らなかったキャロル・キングの歌などを追いかけたくなった。丁寧な仕事だ2022/09/05
苺畑序音
12
歌やシンガーへの長田さんの愛が詰まった本。心地の良い文章で読みやすいのだけれど、スマホ片手に登場する曲を探しながら聴きながら読んだので、えらく時間がかかってしまった。とはいえ心安らぐ時を満喫できました。本を閉じた瞬間、無性にトムウェイツのデビューアルバムが聴きたくなって、これから棚を漁る。2016/09/14
モルテン
7
なんと美しい日本語なんだろう。詩人の著者が、アメリカの歌について、歌うたいについて、アメリカの時代について、アメリカについて、日本語で語る。その語り口は平易でいて、とても奥深い。それ自体がひとつの詩のよう。ところで、この本で紹介される歌や歌うたいは、NHK-FM「ウィークエンド サンシャイン」によく登場するので、MCのピーター・バラカンさんと著者の長田さんがかぶったり。いつか、この本に登場する歌をすべて聞いてみたい。2015/08/26