出版社内容情報
貧富の格差は医療の場で最も顕著。超人的な無償医療活動により世界的に著名な医師がこの格差の構造化要因を暴く静かな怒りの書。
内容説明
ハイチの窮乏、メキシコの貧農の大虐殺、ロシアの監獄の結核。生きる権利と正義はなぜ蹂躙されるのか。人類学の分析的アプローチと医療現場発の実践的解決。
目次
第1部 証人となる(苦しみと構造的暴力について―グローバル化時代の社会的・経済的権利;疫病と拘束―グアンタナモ、エイズ、そして隔離の論理;チアパスの教訓;我々すべてに伝染病が?―ロシアの刑務所における結核の再流行)
第2部 人権をめぐる一医師の視点(健康・治療・社会正義―解放の神学による洞察;預言に耳を傾ける―市場本位の医学に対する批判;残酷で異常な―懲罰としての薬剤耐性結核;新たな不安―グローバル化時代の医療倫理と社会的権利;健康と人権の再考―パラダイム転換のとき)
著者等紹介
ファーマー,ポール[ファーマー,ポール][Farmer,Paul]
1959年生まれ。発展途上国での医療提供活動によって世界的に著名な医師・医療人類学者。ハーヴァード医学大学院国際保健社会医学部長などを経て2010年から同大学のKolokotrones University Professor。学生の頃からハイチの慈善活動に参加し、1987年、出資者や同級のジム・ヨン・キムらとともに国際保健のNPOパートナーズ・イン・ヘルス(PIH)を創立した。PIHは現在12カ国で医療活動を展開しており、貧困地域ではこれまで不可能とされていた結核やエイズの治療に成功した
豊田英子[トヨダエイコ]
1952年生まれ。東京大学文学部西洋史学科卒業。翻訳家
山本太郎[ヤマモトタロウ]
1990年長崎大学医学部卒業。東京大学大学院医学系研究博士課程国際保健学修了。京都大学、ハーヴァード大学、コーネル大学を経て、長崎大学熱帯医学研究所・国際保健分野主任教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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