出版社内容情報
いかにして天然資源を貧困削減につなげるのか? 開発国における資源産業の実態を踏まえつつ、環境主義と経済学を結ぶ中庸の道を提案
内容説明
“資源の呪い”のメカニズムとは?ガバナンスと資源の関係とは?探査から投資まで、アフリカなどの現状を分析し、自然回復と資源活用を調和させる道筋を示す。
目次
第1部 自然の倫理(貧困と略奪;自然は特別か)
第2部 資産としての自然(資源の呪い;自然資産の発見;自然資産の価値の確保;持続不能な収入;投資への投資)
第3部 生産工場としての自然(魚は自然資産か;自然の負債)
第4部 誤解された自然(自然と飢餓)
第5部 自然の秩序(自然の秩序の回復)
著者等紹介
コリアー,ポール[コリアー,ポール][Collier,Paul]
オックスフォード大学教授、同大アフリカ経済研究センター所長。専門は民主主義の政治経済的研究、アフリカの経済成長論、内戦、援助、グローバリゼーション、貧困についての経済学。世界銀行の開発研究グループ・ディレクター、イギリス政府顧問などを歴任
村井章子[ムライアキコ]
翻訳家。上智大学文学部卒業(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きいち
7
収奪しているのは先進国や現地の腐敗特権階級だけではなく、現世代が将来世代から収奪している、というアイデアが腑に落ちる。この考え方により、貧困改善と資源保護の二律背反がぐいっとつながっていく。特に日本人にとっては、「魚」についての一節は、当事者としてこの問題を考えていくにあたって最適の話題だろう。目先の利益を優先してしまう強い誘惑に抗し、資源による富を適切に投資し将来世代に引き継ぐための「倫理基準」にはそれを上回るインセンティブが必要になる。どうやってそれを作っていくかは、読者の我々に課せられた課題。2012/10/08
アナクマ
6
(p.41)「近しい人ほど大切だ」という感覚は、空間的な近さにも時間的な近さにも当てはまる。多くの調査で確かめられているとおり、将来世代のことは自分自身ほど大切には感じない。そして遠い将来になるほど、親近感は薄れる。2017/01/21
Yoshiki Ehara
3
「最底辺の10億人」を書いた元世銀のダイレクター、経済学者。天然資源を豊富に持つ国は経済成長できない、という「資源の呪い」の謎を解明し、より良い、持続可能な資源の管理方法を提案している。 資源価格が乱高下し、日本ではレアアース騒動が起こったり、大手商社が最高益を更新したりと、日本も資源獲得戦争の主要プレーヤーになっている中、貴重な示唆を与えてくれる。2012/05/12
cybermiso
2
距離(国家間)と時間(世代間)について、略奪をどう防ぐかについて書いた本。前半は最貧国が豊富な資源をどう扱うべきかについて論じている。経済学をベースとした議論で説得力がある。資源の呪いに陥らないノルウェーやマレーシアをモデルとし汚職が許されず透明性のある枠組みを作ることが大事。税制や投資先についても踏み込んでいる。後半は持続可能な社会とするため地球資源(漁業や二酸化炭素輩出)等の扱いについて記述。全世界の協調が求められたり、科学技術に対し楽観視していたり実現が難しそうであった。今後の動向を追いたい。2016/03/06
shin
1
功利主義という立場から、資源の「略奪」を諌めている書。将来世代にリターンを残すにはどうすればいいか、論理的科学的に記されている。案を実行に移すにはインセンティブがいささか弱くないかと思いはした。2014/10/22