出版社内容情報
現代にアクチュエルな論文や未邦訳作を集めた全3巻の日本オリジナル選集。1巻は16-22歳の頃書かれた論考と文学論、断章を編む
内容説明
アランの哲学授業に提出した自由作文に始まり、思考と事物、労働と権利、時間についての論考、文学論など「思考の鍛冶場」で精錬された24篇。全3巻の選集のトップを飾る、若き日の論文集。
目次
アランの教室にて(一九二五年十月‐一九二八年七月)(哲学;文学;レオン・ルテリエについて)
一九二九年の試論(知覚について、あるいはプロテウスの冒険;時間について)
多様な主題について(思考と事物;労働と権利;職業の道徳的機能;断章)
著者等紹介
ヴェイユ,シモーヌ[ヴェイユ,シモーヌ][Weil,Simone]
1909‐1943。フランスの思想家。パリのユダヤ系中流家庭に生まれる。アンリ四世校でアランに師事し、パリ高等師範学校を卒業後、哲学教師として各地のリセで教鞭を執る。1934‐35年、未熟練女工として工場で働き、労働者の不幸を体験。1936年、義勇軍兵士としてスペイン内戦に参加する。1940年、ナチスのパリ占拠後マルセイユに移住し、古代ギリシア思想、キリスト教、カタリ派、道教、インドやエジプトの諸宗教、世界各地の民間伝承について思索した
冨原眞弓[トミハラマユミ]
1954年生。パリ・ソルボンヌ大学大学院修了。哲学博士。聖心女子大学哲学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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兎乃
28
敬愛するヴェイユ。16歳の時、アンリ四世校哲学準備級で師アランと出会った彼女は、そのままパリ高等師範学校にてアランの「思考の鍛冶場」で熱い鉄を打ち続け、そして精錬された初期24篇。撓うほどに強靭なドライヴのかかる思考、その意思、若き日の文体の純粋さと構成の緻密さ、秘めた他者への優しさ。34年間の短い生涯で、多岐にわたり思索し、病弱な自らの体を使いきったヴェイユ。長期間、就寝前の読書として傍に置いた本、しばらく本棚へ。2013/03/21
月
4
物質的な権能が思考を剥ぎ取られて出現する自然の光景に触れて初めて人間は至高の価値へと向き直るすべを会得する。世界にまったく希望を抱かなくなって初めて精神は一切の希望を自身に寄せるに至る。精神が一切混入しないこの自然は我々が精神をあらゆる動物的な混淆から浄める一助となる。2021/09/25