出版社内容情報
虐殺や収容所体験をしたユダヤ人の親の下に育った子どもたちは、媒介者として、親たちの記憶をいかに現在と未来につないでいくべきか
内容説明
はるか彼方のホロコーストをどう理解し、その意味を伝えていけばよいか。繋ぐ存在としての「私」や第二世代とは。記憶の政治学を超えた、未来へのまなざしの書。
目次
1 ホロコーストという寓話
2 心に刻みこまれた物語
3 語られた物語
4 倫理の地平へ
5 手渡された記憶
6 過去への旅
7 過去から現在へ
著者等紹介
ホフマン,エヴァ[ホフマン,エヴァ][Hoffman,Eva]
1945年、ユダヤ人の両親のもとにポーランドのクラクフに生まれる。13歳でカナダに移住。アメリカのライス大学で英文学を学び、ハーバード大学大学院で博士号を取得。1979年より1990年まで『ニューヨーク・タイムズ』の編集者として活躍。1989年にノンフィクションとして高い評価を得た自伝Lost in Translation:A Life in a New Languageを出版し、作家生活に入る。現在イギリスに在住
早川敦子[ハヤカワアツコ]
1960年生まれ。津田塾大学大学院文学研究科博士課程修了。英国エディンバラ大学大学院、オックスフォード大学大学院留学。現在、津田塾大学学芸学部英文学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
どんぐり
5
著者のエヴァ・ホフマンは1945年にポーランドのクラクフに生まれ、戦後両親と共にカナダ移住したホロコーストの第二世代である。著者はホロコースト(ショア)が、生存者の子どもたち(第二の世代)にとってどのように負の遺産とつながっているのか、トラウマの歴史が遺した意味、ホロコーストが個人に与えた影響、受け継がれた遺産の衝撃と、それが後にどのような変容を遂げてきたのかを、自身の体験も踏まえて明らかにしている。ホロコーストを、時間的心理的距離のもつ「記憶」という視座からとらえた思索をたどる。2012/11/02
楽人
1
ホロコーストと我々の広島、長崎の第二世代と呼ばれる立ち位置が、とても貴重で必要で有り、巨大な悲劇がその後の人間達に与えた影響を理解する事は、第二世代が引き受けるべき仕事・・・・・・。2012/02/20
soran
1
ホロコースト第二世代の著者が、記憶の継承について綴る。深い思索とユダヤ人を取り囲む状況へのバランスのとれた理解、ドイツ人をはじめとする非ユダヤ人の立場や気持ちをも推し量った、センシティヴでセンシブルな文章が心にしみる。日本の読者にも学べることは多い。2011/09/13
どんぐり
0
著者のエヴァ・ホフマンは1945年にポーランドのクラクフに生まれ、戦後両親と共にカナダ移住したホロコーストの第二世代である。著者はホロコースト(ショア)が、生存者の子どもたち(第二の世代)にとってどのように負の遺産とつながっているのか、トラウマの歴史が遺した意味、ホロコーストが個人に与えた影響、受け継がれた遺産の衝撃と、それが後にどのような変容を遂げてきたのかを、自身の体験も踏まえて明らかにしている。ホロコーストを、時間的心理的距離のもつ「記憶」という視座からとらえた思索をたどる。 2012/11/02
本を読む日々
0
戦争の記憶に、抑圧の記憶に、自他の区別を超えてどう向き合えるか2013/02/03