出版社内容情報
自殺願望者がなぜ人を殺すのか――現代人の錯綜した心理を深く分析する。日本人の恥の感覚をキーとして現代日本社会への思考を紡ぐ。
内容説明
言語政治学の知見を援用し、恥の感覚を鍵とした“思いやり”と“慎み深さ”を内包する倫理を考究する。アガンベン、辺見庸、コノリーほか、多くの思想に論及。
目次
はじめに―いまなぜ“恥ずかしさ”なのか
第1章 “恥ずかしさ”のいま
第2章 恥感覚の起動原理
第3章 「話すこと」の負い目
第4章 “恥ずかしさ”の復権
おわりに―「暴力こそが唯一の答え」に向き合う
著者等紹介
菊池久一[キクチキュウイチ]
1958年生まれ。コロンビア大学大学院修了。現在、亜細亜大学法学部教授。研究領域は、言語政治学、社会言語学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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雪駄
4
恥についての考察本。著者の主観的な考えに思える部分もあったが、個人的にはとても価値のある本と感じた。人は生きている限り恥がつきまとう、というかむしろ恥そのものであること。そこから逃れられない、それを引き受ける、それを感じつつ言動する、そこからがスタートということ。力強く背中を押されると同時に、背筋を正さなければと思わされる本。引用されていた「自分に死ぬ」ということばが非常に印象的。2025/06/01
林克也
1
菊池さんが今、この本を書くならもっと違ったものになるだろう。人類の歴史上、いくら政治屋やそれを利用する輩たちは恥知らずの者どもだったとしても、今ほど恥ずかしさという概念を破壊しつくすことを、しかも彼らは、わかっていて開き直っているのでなく、サルが見ても分かるほどの、心底恥ずかしさの感情や感覚がないという種類の人間が現れたことを、どう評価、分析するのか、非常に興味がある。・・・などと他人事のように言っているが、ほんとこのままでは奴らに自死するしかない状況に追い込まれてしまう。嫌だ嫌だ嫌だ。2017/08/26
fukiage
0
良書。ただし最初から追っていくと理解しにくい個所がある。後から読み返すことを進める。2011/11/08
qwerty1234
0
哲学的で難しかったですが、最近の世間の出来事をテーマにした考察が深かった。テレビや新聞で最もらしく論評をする文化人と言われる人達に辟易とさせられる中、胸がすく気持ちになると同時に恥ずかしさも感じました。2011/07/18