出版社内容情報
自然科学が専門化・細分化し、価値に無関心に見える現代こそ、美学をもつ者は強い。計算・論理の力を基盤にした理科系発想の美学入門
内容説明
世界を情報の流れとしてとらえるとき、美はどこにあるのか。自然科学との対話から生まれる、計算・論理を基盤にした美学。美の発見・発信者となるための思考。
目次
第１章 世界のなかに美を位置づける
第２章 古い道具立てを捨てる
第３章 枠組みの転換
第４章 一と多
第５章 ハーネスの思想
第６章 美をみつける―美学の積極的役割
第７章 美学的人間
著者等紹介
秋庭史典［アキバフミノリ］
１９６６年、岡山市生まれ。京都大学大学院文学研究科博士後期課程修了（美学美術史学）。博士（文学）。名古屋大学大学院情報科学研究科准教授。専門は美学。現在は、自然計算からみた美、そして知的活動を支えるシステム（例：ミュージアム）における科学と芸術の協働にとりくんでいる（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
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izw
9
6月のAI美芸研で「感性と計算の美学」の話を伺って、著書を読まねばと思いながら、読み始められず1ヶ月半経ってしまった。読み始めたら分かりやすい語り口ですんなり読めたが、引用されている文は難解のものが多く、直接理解することは諦めて易しく書かれた解説だけで分かったつもりになって読み進めた。カントの感性論ではなくライプニッツのモナドロジーの考え方に依り、近年発展している自然科学・数学・情報学の考え方で展開する、という道具立ては緻密に論理展開されているが、結局「あたらしい美学」は何かはぼんやりしている気がする。2018/08/03
メルセ・ひすい
3
15-39 科学が高度に専門化・細分化し、価値に無関心に見える今、美は世界のどこに位置づけられるのか。「ここに美の可能性がある」と伝える声々が聞こえてくるのを期待しつつ、あたらしい美学のとびらを開く。カント､ライプニッツ､ドゥルーズ､フーコー…美学はいつも自然科学との対話から始った｡だれもが科学テクノロジーとの共存を運命づけられている現代､自然を観察し､その仕組み手続き(アルゴリズム)として解明する「自然計算」は､「自然とは何か」「そのなかで私達はどう生きるべきか」を考えるための入り口となる｡2011/06/18
にこにこ
2
芥川賞<<<直木賞 な私には読むのに力が要る部類の本。万人向けではない。グーグル先生なしでは読めない難しい言葉選びと冒頭のカタイ部分を乗り越えると哲学は社会科の先生でもあるので好きな分野で出てくる過去の偉人達の事もわかって加速されてくる。先に６，７章の「答えの実例」を読んでから、ルール部分を読んだ方が分かりやすいと思います。誰に向けて書いたのだろう？と思ってしまう教養を必要とする本でした。2015/08/19
my
0
めちゃくちゃ口が悪いのにものすごく親切で、伝統的美学にノリつつシラケるというか、伝統を肯定しながらも現代的視座から「でもこの手法のここはさすがにちょっと無理がきてるよね」みたいなことを指摘したりして、著者が誠実に勉強してきちんとのみこんできたこと、だからこそ尽きぬ疑問をもち、それについて丁寧に考えていくことができるのだということがありありと読み取れた。はー、わたしはとにかく著者のことを好きになってしまったので辛抱たまらず名古屋まで会いに行きました。そしたらよさこいソーランの調査をやらされていた……なぜ……2017/10/30
@を
0
美をただの感性的認識の問題ではない仕方で扱う。自然科学を基盤に自然の「仕組み」と人間の生き方という、一見して関係なさそうな二つを美学によって関係させるという感じだろうか？ この本でいう美学は「美とは何か」を問うのではなく美の可能性を次々に提示していくというスタイル。学問の専門分化が著しいなかで、それらを文理問わず美学で結び付けようとする（カント以来の）壮大な計画。学際的な立場には共感できる。しかし芸術の美ではなく自然の美を扱うというが、それぞれの美は断絶してるのだろうか？2013/08/17
