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マイ・アントニーア

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  • サイズ B6判/ページ数 319p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622075677
  • NDC分類 933
  • Cコード C0097

内容説明

舞台は19世紀後半のアメリカ中西部。ネブラスカの大平原でともに子供時代を過ごしたこの物語の語り手「ぼく」と、ボヘミアから移住してきた少女アントニーア。「ぼく」はやがて大学へ進学し、アントニーアは女ひとり、娘を育てながら農婦として大地に根差した生き方を選ぶ。開拓時代の暮しや西部の壮大な自然をいきいきと描きながら、「女らしさ」の枠組みを超えて自立した生き方を見出していくアントニーアの姿を活写し、今なお読む者に強い印象を残す。アメリカで国民的文学として長く読み継がれてきた名作を親しみやすい新訳で贈る。

著者等紹介

キャザー,ウィラ[キャザー,ウィラ][Cather,Willa]
20世紀前半のアメリカ文学を代表する作家のひとり。1873年、ヴァージニア州の農家に生まれる。1883年、10歳のときにネブラスカ州に移住。1890年、ネブラスカ大学入学。在学中から地元紙に劇評などを執筆。1895年の大学卒業後は、ピッツバーグで雑誌編集者、高等学校の教師をしながら創作活動を行う。その後、生活と作家活動の拠点をニューヨークへ移す。1923年、『我らの仲間』(One of Ours,1922)でピュリツァー賞受賞

佐藤宏子[サトウヒロコ]
東京女子大学文学部英米文学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。マウント・ホリョーク大学大学院修士課程修了。イェール大学大学院アメリカ研究科研究員。東京女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

238
物語の舞台は19世紀末のネブラスカ。ウィラ・キャザーは初読だが、この作品が彼女の代表作らしい。ブラック・ホークはソーク族の酋長の名前から取られたようで、どうやら架空の地。そうはいっても、19世紀当時のネブラスカの地を髣髴とさせる場所であり、そこに生きた人々を実に生き生きと描き出した小説だ。わずか100年と少し前のことなのに、ここではまだ開拓時代の名残を随所にとどめている。この大平原の真只中の町に住むのは、ノルウェー人にボヘミア人にロシア人と移民1世ばかり。まさにライヴなアメリカ史の一端を見る思いだ。2015/07/26

ケイ

116
作者は、フィツジェラルドなどに影響を与えた女性作家。前半の輝きだけ覚えておきたい。欧州の様々な地域から中西部にきた人達の、助け合わずには生きてはいけない自然の厳しさ。ロシア人の語る、夜に婚礼の馬車の列を襲うウクライナのオオカミの群れ。草むらから現れ首を持ち上げる大蛇。後半は、帝国崩壊後の英国知識人が「古き良きイングランド」を回想した小説やルポルタージュに筆を忙しくした如く…、NYで成功した作家が開拓時代やその中にいまだ身を置く人々の輝く部分を描いたようで、何か納得出来ない気持ちが残る。2022/03/02

まふ

111
米国の片田舎における東欧の移民一家の苦闘と一人の勁い女性の半生を友人の男性から見た記録。ネブラスカ洲の田舎町に移住した語り手の少年ジムはアントニーアという少女と知り合いお互いに惹かれ合いながら成長する。ジムはハーヴァード卒のエリートになるがアントニーアは地元で様々な困難に直面しつつ最後は12人の子持ちの肝っ玉母さんになる…。米国のど真ん中の田舎ではこうした悪戦苦闘の毎日の歴史が刻まれていたのだろう。英語も話せない移民たちのみじめさと団結の強さなどが胸に迫る。米国ならではの第1級作品だ。G1000。2024/01/05

seacalf

75
読み手を魅了する数々のエピソードがギュッと詰まった読み応えのある作品。舞台はアメリカ開拓時代、ネブラスカ州。両親を亡くし祖父母の農場に引き取られたジムと移民の少女アントニーアを中心に、無邪気な少年時代から始まり、少し成長した街での生活、そして成人してからの物語が綴られる。圧倒的に美しい大平原の風景描写や、印象的な数々のシーン、非常に魅力的な人物達を生き生きと描き出す。ほろ苦い展開もあるが、ジムとアントニーアの真っ直ぐな信頼感が心地好い。アメリカでは国民的文学として長く読み継がれているという。宜なるかな。2021/10/26

NAO

66
アメリカに行ったら金持ちになれると信じて来たのに、厳しい暮らしを強いられた移民の娘たち。だが、アントニーアは、どんなときにもへこたれることなく強くたくましく生き続けた。20年後にはアメリカンドリームをかなえながらも、ジムは、厳しい生活の中にも枯れることのない生命の輝きを発し続けているアントニーアに圧倒されずにはいられない。「彼女は太古の種族の始祖のように、豊かな生命の泉なのだ。」そして、大地にしっかりと根を張って生きたアントニーアのような女性がアメリカの発展を支えていたことは間違いない。 2017/08/29

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