荒廃する世界のなかで―これからの「社会民主主義」を語ろう

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  • サイズ B6判/ページ数 264p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784622075608
  • NDC分類 309.4
  • Cコード C1036

内容説明

今日の生き方には、途方もない間違いがある。市場原理主義が引き起こす不安と混乱に対して、世論の鍛え直しと政府の役割の再考を訴える、歴史家最後の提言。

目次

第1章 今のわたしたちの生き方
第2章 失われた社会
第3章 政治の耐えがたい軽さ
第4章 さらばすべての古きものよ?
第5章 何をなすべきか?
第6章 来るべきものの形
結び 社会民主主義―生きている部分、死んだ部分

著者等紹介

ジャット,トニー[ジャット,トニー][Judt,Tony]
1948‐2010。ロンドン生まれ、ケンブリッジのキングズ・カレッジ、パリのエコール・ノルマル・シュペリユール卒業。オックスフォードのセント・アンズ・カレッジでフェローおよびチューターを務めた後、ニューヨーク大学の教授に就任。1995年からレマルク研究所の所長としてヨーロッパ研究を主導する。2005年に刊行された『ヨーロッパ戦後史』はピュリツァー賞の最終候補となるなど高く評価される。2007年度ハンナ・アーレント賞を受けた

森本醇[モリモトジュン]
1937年北九州生まれ。翻訳者・編集者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Francis

17
著者はユダヤ系でありながらシオニズムに反対しイスラエルはユダヤ・パレスチナ二民族の国家となるべきと考えていたことを訳者あとがきを読んで知った。そのような出自ゆえか、1989年ベルリンの壁崩壊以降の金まみれで格差が広がり、不安だらけとなったいわゆるグローバル社会とそれ以前社会民主主義勢力により安定した社会を築いていた欧米社会を対比させて描き出している。そして具体的な対策のイメージは沸きにくいものの、社会民主主義の再生を呼びかける。社会民主主義再生のマニフェストの一つになり得ると思う。著者ジャットに感謝。2018/05/27

yooou

8
☆☆☆☆☆ トニー・ジャット、素晴らしかったです。残念ながらご本人はもうこの世にいない。政治体制についての主義主張以前にどんな社会であるべきかを問うその切り口の鋭さは学ぶところ大でした。特に今のような政治の低迷の最中では。2011/02/21

D.Okada

7
社会主義と社会民主主義。資本主義の廃絶か、資本主義との妥協か。社会主義は挫折したが、「社会民主主義は、多くの国々で権力の座に就いたのみならず、その創始者たちの奔放な夢を超える成功を勝ち取った」。当初は「理想主義」で、20世紀に入ると急進的だと揶揄された社会民主主義は、今や多くの自由主義国家の日常の政治となっている。しかし、そうしたコンセンサスは市場原理主義、グローバリズムで崩壊してしまった。「これから」の「社会民主主義」は公的空間と市民参加型の政治(異議の申し立て、世論の鍛え直し)の活性化にある。2011/05/07

壱萬参仟縁

4
ライフ・チャンスとは生活機会(25ページ)。スタートラインの平等のJ.S.ミル(69ページ注記)も想起する。厳しい社会になると、機会不平等の問題も顕在化する。雇用、結婚が大きな契約機会。少子化の原因となるのも頷ける。機会が稀少かゼロでは生きてゆけぬ。節度、正直、穏健の重要性(50ページ)。骨抜き社会(136ページ)は、政治の耐えがたい軽さの章に出てくる。庶民の暮らしが軽視されてしまう謂いだと思える。骨太の改革、とか言っていた時代もあるが、骨抜き社会とは社会保障が瓦解して、弱者切り捨ての社会。万人に希望を。2012/12/03

koji

4
この本を書いた時、ジャットはルー・ゲーリック病に冒されたいへん困難な状況に置かれていました。一つ一つの言葉に「魂の叫び」があります。政治の耐えられない軽さは、震災、原発で苦しむ日本の状況を映し出しているようです。共感する所も多いのですが、ハーバーマスが指摘したように、グローバル化の中で国境を超える対策を求められている現状をどう見るべきか。「国家」では議論し尽くせぬ時代をどう考えるのでしょうか。2011/04/13

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