内容説明
漱石はなぜ「神経衰弱者」を描いたのか。作品・書簡他、関連資料を渉猟し、作中に込められた真意を読む。精神医学的考察から浮かび上がる、漱石のもうひとつの姿。
目次
高等師範学校―松山行きの謎
熊本時代―介護者としての漱石
英国留学―自己本位の確立
千駄木時代―神経衰弱文学の誕生
『坊っちゃん』の成立―神経衰弱者の世界
体格と性格の法則性
人間関係の反復性
自己相対化の過程
文明批評から心理分析へ
漱石の天才論
漱石文学における癒し
精神療法家としての漱石
漱石文学にみる精神療法
鈴木三重吉と森田草平への手紙
武者小路実篤への手紙
著者等紹介
高橋正雄[タカハシマサオ]
1954年秋田県に生まれる。1979年東京大学医学部医学科卒業。東京大学医学部附属病院、佐久総合病院、東京都衛生局、東京都立中部総合精神保健センター、東京大学医学部保健学科精神衛生学教室、筑波大学助教授(心身障害学系)、同教授を経て、筑波大学大学院人間総合科学研究科教授(障害科学系)。1999年日本病跡学会賞受賞。これまで病跡学、医学思想史関係を中心に530篇余りの論文・著作を発表している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Kensuke
6
漱石自身の病や、作中に投影された病者へのまなざしを作品や書簡、周囲の証言から精神医学的観点から読み解く漱石論。漱石作品には学生時代に数冊読まされた記憶があるだけで、その病に関しては「イギリスでノイローゼになって帰国した」、「結構神経質な人物だった」程度のぼんやりとした認識しか持ち合わせずに読み始めた。生涯にわたってこれほど深刻なレベルで闘病していたのか、とまず驚く。20代、30代、40代とそれぞれ一回ずつ計3回「神経衰弱」に陥るが、漱石が旺盛に作品を書き残したのは30代、40代の病からの回復期。→2019/05/04
Timothy
5
漱石に関しては無闇に解説や研究を読んで頭でっかちになりたくないという思いがあるが、それでも手に取ってみた本書は精神医学の観点から漱石作品を論じたもので、『漱石文体見本帳』と並び読んでよかったと思う関連書籍の一つ。作品に関する仮説の裏付けを漱石の実生活に求めるというよりは、生活上の事件や病状の変化の影響を当時執筆された作品や書簡に見る。内容が面白いだけでなく、漱石好きには心地のいい文体だった。惜しいことに絶版らしいが是非手元に置いておきたい。2021/02/15
koi
2
根底にあるのは「俺の気持ちをわかって」という思い。漱石作品が面白く読めるようになりました。ほんとに感謝です。2017/03/09




