内容説明
そこに秘められたのは、女たちの夢か、空想か、それとも恨みか―。プリズムのように複雑な光彩を投げかけ、不思議な驚きと共感を贈る、名篇アンソロジー。
著者等紹介
川本静子[カワモトシズコ]
津田塾大学英文科卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ハーヴァード大学大学院留学。津田塾大学名誉教授
佐藤宏子[サトウヒロコ]
東京女子大学文学部英米文学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。マウント・ホリオーク大学修士課程修了。イェール大学大学院アメリカ研究科研究員。東京女子大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
☆よいこ
54
イギリスとアメリカの古典幽霊話(女性作家限定)短編8つ▽イギリス編…[老いた子守り女の話:エリザベス・ギャスケル]ヒイラギの根元に誘う母子[冷たい抱擁:メアリー・エリザベス・ブラッドン]女を裏切った画家は葬儀の絵を描く[ヴォクスホール通りの古家:シャーロット・リデル]強欲な女大家[祈り:ヴァイオレット・ハント]夫を死なせない女▽2020/05/04
かりさ
50
英米女性作家による怪奇短篇集。女性ならではの筆致の繊細さに深い情念をのせて綴る恐怖は、じんわり闇を落としていきます。仄かな希望や夢や光の欠片を失った絶望や諦め…織り成す幻想に静かな共感が寄り添います。静謐で上品な幽霊譚。ヴィクトリア期に活躍した英米女性作家たちによる8篇のゴースト・ストーリー、大変面白く読みました。当時の時代背景、社会的・文化的状況の様々取り囲む中で見出された女性作家たちの分野と作品たち…なんと言っても訳が読みやすく、素晴らしいアンソロジー。良き出会いができて幸せな読書でした。2019/08/26
コジ
30
★★★☆☆ タイトルはゴースト・ストーリー傑作集だが、英米の女流作家限定の古典ホラー短編集と捉えたほうが良いかも。あからさまに幽霊が登場する内容よりも、終始不安と緊張が漂う「祈り」や心理的に追い詰められる「手紙」のような作品が印象に残った。また、「ルエラ・ミラー」の不快に近い不安感はある意味新鮮な読書体験。古典なので「これはすごい、斬新だ!」となるような作品は無い代わりに普遍的な恐怖を味わえるラインナップ。若干古臭く感じる翻訳だが、ホラーが苦手でなければ一読の価値はあると思う。2019/05/09
内島菫
26
イーディス・ウォートンの「呼び鈴」だけ既読だったが、この「呼び鈴」が一番よかった。彼女はアメリカの作家だが、その出自からか作品には多分にイギリスのゴースト・ストーリーの雰囲気がある。「訳者あとがき」によると、英米とも「ヴィクトリア朝定期刊行物に掲載されたゴースト・ストーリーの70%は女性作家によるもの」だそう。「これは、ゴースト・ストーリーの分野には女性作家ならではの誘因があったからのように思われる。それは、彼女たちがゴースト・ストーリーの世界に、2019/08/27
星落秋風五丈原
26
『老いた子守り女の話』子供が犠牲になる話っていやだな。『ルエラ・ミラー』本人が意図的なら悪女だけどそういう宿命なら悲劇の女性。『呼び鈴』結局真相はやぶの中でいやーな終わり方。2017/08/17
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